1,000km乗って見えてきた、新型ジムニーの姿!納車1年以上待ちの人気、本当に死角なしか

ジムニーの身上、じつはクロカン4WD

スズキ ジムニー 2018

発売から1か月も満たない段階で、すでに納車まで1年以上かかるといわれているジムニー。ジムニーシエラにいたっては、現状でなんと5年待ち状態との情報も飛び込んできたほど大ヒットを飛ばしています。

20年ぶりのフルモデルチェンジということもありますが、なによりデザインや中身がいいことからビッグヒットになったことは間違いありません。ネット媒体で報道されない日はまずなく、今や新型ジムニーは社会現象にさえなっています。

今回、幸運にも2台のジムニーに長く乗る機会を得ました。すでにこれまでも、テストコース、一般道、オフロードコースでジムニーを試乗してきましたが、やはり一般ユーザーと同じスタンスで乗ることで、見えてきたことがたくさんあります。今回は、ジムニーを約1000km乗った先に感じたことをお伝えしましょう。

誤解があるといけないので、まず最初にお伝えしますが、僕はジムニーというクルマが大好きです。先代のJB23/43型もここ数年、年間5,000km以上のドライブをしてきました。そして、メーカーテストコースで新型のJB64/74型に初めて乗った時は、それは感激したものです。

先代は20年で10型まで改良版を出したロングセラーモデルで、最終モデルは非常に熟成されたクルマになっていました。ですが、発売から20年も経過すれば、何度も仕様変更を行っても前時代的な性能やフィーリング、安全性を完全にアップグレードすることは不可能です。

それゆえ、ゼロから開発し直した新型ジムニーは、すべてが衝撃的でさえありました。1970年の初代登場以来、その変遷を知る人間にとって、JB64/74型ジムニーのクオリティは感動を感じるほどのものでした。

それゆえに世ではベタ褒めする意見が多くなっていますが、クロスカントリー(オフロード)4WD、いわゆる「ヨンク」を経験したことのない人にとっては、必ずしも手放しの評価にならないのではないかと思うのです。

3リンクリジッドアクスル式サスペンション

そもそもジムニーのようなクロスカントリー4WDには、“オフロードを走らなければならない”という大義名分があります。そのため、ラダーフレーム構造のボディや3リンク式リジッドアクスルサスペンションといった、現代の自動車においてはクロカン4WDとトラック以外で見かけない構造を採用しています。

こうしたメカニズムは、長い耐用年数やオフロード走行の衝撃や岩などへのヒットでも耐える頑丈さを確保する一方で、重量が重くなりドライブフィールや燃費といった性能に大きな影響を与えているのです。

例えば同じスズキのアルトやハスラー、ワゴンRなどとは、明らかに乗り味や使い勝手が異なっていることを事前に知っておかなければ、「こんなはずではなかった」となってしまうのではないでしょうか。

完成度は高いが気になる部分はある

スズキ ジムニーシエラ JC 2018

今回、約1,000kmという距離を乗ってみて改めて思ったことは、ジムニーはオンロード性能とオフロード性能というふたつの別々な方向性の中で、非常に上手くバランスさせているということです。

互いの性能はトレードオフとまでは言いませんが、一方を立てれば一方を犠牲にしなければならない部分もあります。例えば、オフロード走行では路面追従性が重要になり、しなやかに動く脚が必要です。ところがオンロードをシャープに走るには、動きすぎる脚はその妨げになるわけです。

その点で新型ジムニーは素晴らしい着地点を見つけているのですが、クロカン4WDに乗り慣れていない人には“ちょっと違うぞ”となってしまうかもしれません。ただし、新型ではその違和感も非常に小さなものになったはずです。

無題

今回の試乗でパワートレインのフィーリングにおいて、日常的に乗るには気になる点がありました。例えば、4ATは市街の細街路を走っていると2速、3速を頻繁行き来するため、非常にせわしい印象を受けます。

オフロード走行を考えてのセッティングだとは思いますが、ジムニーはサブトランスファー(副変速機)を持ち、4WD-Lがあるわけですから、2WDと4WD-Hのギア比はもっと上に振ってもいいのではないでしょうか。高速道路で料金ゲートを通過して最大加速をする時、5MTに比べると4ATは加速が鈍く、もったりとした感じです。

高速道路での100km/hの巡航運転では、エンジン回転数が4,000rpm弱になります(5MTでは約3,200rpm)。これはトールワゴンなど昨今の軽自動車と比較すると、かなり高めと言わざるを得ません。もっとも先代に比べれば遮音対策も含めて快適レベルなのですが、ハスラーあたりから乗り替えたら多少うるさいと思うかもしれません。また、パートタイム式4WDの駆動系から出る独特のギア鳴りも、気になる人がいるでしょう。

先代と比較すると、動力性能やATのアップグレードがあったために、高速道路は快適に走れるようになりました。ですが、多少オーバースピードで追い越し車線を走りたい時、勾配のある区間を走る時などは、オーバードライブのOFFや2レンジへのシフトダウンをドライバーが積極的に行わないと、キックダウンだけではクルマの流れに付いていくことはできないシーンが随分とありました。

スズキ ジムニー 2018

また、体重80kg台の男性二人が、勾配約19%の登りの山道を走った際には、2速からまったくギアが動かず、しばらく40〜50km/hで走るハメになったのには驚かされました。ちなみにこの時、5MTは軽々と同じ道を登って行ってしまいましたが。

一方、5MTでも不満がないわけではありません。曲がりくねった山道、勾配のある未舗装林道では、やはり2速と3速でのシフトチェンジが忙しくなります。ジムニーは先代でも5MTの2速と3速のギア比が離れ気味で、新型でもその部分が踏襲されてしまいました。

そのため、登りの山道は3速で走っているとトルクが足りなくなり、2速にシフトダウンするとすぐに回転数が頭打ちになってしまうというジレンマを感じることになります。未舗装路であれば、4WD-Lにシフトすることでギア比を近づけることができるのですが、乾燥した舗装路ではタイトコーナーブレーキング現象の危険性があるため、それもできません。

ジムニーはオフロードを理解していないと乗れない!?

無題

新型のジムニーのトピックスとして、横滑り防止装置を含めたESPの新採用があります。その電子デバイスの中には「ブレーキLSDトラクションコントロール」や「ヒルディセントコントロール」といったオフロード走行のためのアシスト機能も含まれています。

新型ジムニーの記事を拝見すると、電子デバイスの搭載によってオフロード走行の容易になった…という論評が多く見られましたが、僕は少し違うことを感じました。

たしかにブレーキLSDトラクションコントロールの機能は、ジムニーに新しい可能性を与えています。ですが、それは限られたレベルのシチュエーションにおいて。タイヤの空転を感知するとトラクションを回復させるためにエンジンの出力を自動的に落とすESPというシステムが、ハードなオフロード走行では邪魔になるシーンが見られたのです。

スズキ ジムニー 2018

例えば非常に長いヒルクライムを4WD-Hで行った時、タイヤが空転し始めたらESPがトルクを絞る制御を行ってしまい、坂を登り切ることができなかったのです。何度か繰り返しましたが、結果は同じ。坂の途中で止まってしまった場合、熟練者なら慌てず真っ直ぐバックすることができますが、初心者ならハンドル操作を誤って横転する危険性もあります。

この他のシーンでも、いくつかシーンで似た現象がありました。ただESPをカットしてみると、ジムニーはキャラクターが変わったように元気に走り出しましたが。ジムニーの電子デバイスはランドクルーザーなどのものに比べると簡易的なシステムであり、あくまでもいざという時のアシスト機能。誰でもどこでもオフロード走行が可能になる魔法の杖ではありません。

本格的なオフロード走行をする場合は、まずその走行方法の基本や知識を学び、さらにESPの機能内容を熟知し、その上で4WD-LやシフトやESPオフというモードで走る選択肢も知っておく必要があると思います。ただし、大雪の時やレジャーで訪れた河原、砂地など、希にありそうなスタックシーンでは、非常に役立ってくれるでしょう。

次ページ細かい部分は気になるが、やはりジムニーは夢のクルマ

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