キャンピングカーは家として登記できる?

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欧米の映画などを観ていると、キャンピングカーやキャンピングトレーラーに居住しているシーンが出てきます。好きなところで自由に生活するスタイルには、憧れますよね。はたして、日本でもそんな生活ができるのでしょうか?

文・山崎友貴
Chapter
キャンピングカーは本当に自由?
タイニーハウスとして注目されるキャンピングトレーラー
キャンピングカーは家として登記できる?

キャンピングカーは本当に自由?

夏前の季節には、キャンピングカーへの注目度がグッとアップします。近年、キャンピングカーの需要は増加し、最近では納車まで1年以上待つモデルもあるくらいです。

キャンピングカーの魅力と言えば、なんと言っても「自由」。自走で好きな場所まで行って、そこで寝泊まりする。飽きたらまた違った場所に移動して…。そんなイメージを持っている方も多いことでしょう。もちろん、それに近いライフスタイルを送ることができるのですが、実際にはマナーや機能上の制約など、必ずしもすべてが自由とは言い切れません。

まず、キャンピングカーで生活するには、水や電気といったライフラインの問題があります。また、トイレのことも考えなければなりません。さらに車両ですので、どこでも駐車するわけにはいきません。日本では、国有地でも私有地でも、自由にキャンピングカーをとめられる場所は少ないので、駐車スペースを確保したうえで寝泊まりしなければならないのです。

水はタンクに貯めておき、電気は車両に備え付けのサブバッテリー(車中生活専用のバッテリー)を使えば、なんとかなります。ただし、水も電気もどこかで補給する必要が出てきます。トイレはカセットタイプを使うとしても、排泄物処理をしなければなりません。そういった煩わしさを回避するために、オートキャンプ場を使うユーザーが多いのです。

オートキャンプ場なら、水道も電源もトイレもあり、快適な生活が可能です。ですが、利用料は当然かかるわけですから、ずっと利用するとなると、キャンピングカーの「安い旅」というメリットが無くなってしまうのも確かです。また、日本全国で見ると、まだまだキャンピングカー用の設備が完備されたオートキャンプ場というのは、数が十分とは言えません。

道の駅や高速道路のサービスエリア、公共駐車場などを宿泊場所に使えそうですが、じつはマナー違反として問題視されています。長時間駐車、ゴミ捨てや排泄物処理、洗い物など、施設本来の目的と違った使い方をするので、キャンピングカーお断りにしている施設もあります。

一方で、キャンピングカーを積極的に誘致している道の駅も出てきたり、日本RV協会が認定する「RVパーク」が増設されたりしていますが、まだまだ日本でのキャンピングカー環境は十分なレベルに達していないというのが実情です。

タイニーハウスとして注目されるキャンピングトレーラー

2020年に東京オリンピックが開催される影響もあって、日本の都市部の地価は上昇していると言われています。憧れのマイホームを持つのが厳しくなっている状況で、注目されているのが「タイニーハウス」です。これは、安価で小さな家で生活することで、住にかかるコストを下げて、そのぶん豊かな生活をしようというライフスタイルです。

アメリカでは数年前からブームになっており、日本にもその波がやってきています。そのタイニーハウスのメインストリームになっているのが、トレーラーハウスです。トレーラーハウスは車輪の付いた家で、自由に住む場所を変えることができます。

トレーラーハウスは法律では、道路車両運送法の車両にあたります。幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m未満のトレーラーハウスは、車検を取らなければなりません。このサイズを超えるものは、特殊車両通行許可(車検登録後に申請)を取ることで、公道を移動させることができます。

税制上はフリーと一般的に言われてきたトレーラーハウスですが、実際には行政によって解釈が異なるようです。移動できるのは固定資産税がいらないという地域がある一方で、自動車と同じ動産だから税金がかかると解釈される場合があるようです。また近い将来、トレーラーハウスへの課税も検討されている話もまことしやかに噂されています。

さらにトレーラーハウスは、住居用、事務所用のいずれで使用するにせよ、さまざまな制限があります。まず、すぐに移動できることが大前提です。そのため、ガスや水道などは脱着できなければなりません。また車輪を外すことも不可です。移動に支障がある階段、ポーチ、ベランダなどの増設も不可です。

さらに運送費や設置費用が意外と高いのも考慮しなければなりません。狭い場所に搬入する場合は、牽引車以外に重機が必要となります。また市街化調整区域や農地でも置けるというメリットがある反面、ボディが重いため地盤が弱い場所に置く場合はコンクリートなどで整備しなかければならないからです。

キャンピングカーは家として登記できる?

さて、本題に戻りますが、キャンピングカーやトレーラーハウスを、家として登記できるのでしょうか?疑問を、業界各方面にぶつけてみました。

しかし、そもそも家として解釈されず、自由に移動できるというのがメリットのキャンピングカーやトレーラーハウス。どの業界関係者も「?」でした。

まず家として登記する場合は、基本的に基礎を作って固定しなければなりません。固定方法も、はたしてどのようにするのかという問題が出てきます。おそらく、特殊な基礎と固定方法が必要となるでしょう。

第2に、建築法上でキャンピングカーやトレーラーハウスが認可されないという可能性があります。消防法でも、そのまま認可されることは非常に可能性が低いと、あるトレーラーハウス業者は言います。特にプレハブ建築の認可さえも厳しい宮城県や神奈川県では、トレーラーハウスの持ち込みさえ厳しいようです。「場合によっては、小さな家を建てた方が面倒も少ないし、安いかも」とのことでした。

家として認められない以上、住民登録もできないし、行政サービスはまったく受けられません。まあ、郵便くらいは配達してくれそうですが…。

ただし、キャンピングカーやトレーラーハウスを家して使用するという法律は、未整備の状態。建築法上は家として認められなくても、「別荘」や「離れ」としては認められる玉虫色の状態だと言います。

登記はしなくても住むことはできますし、住民票を置く本拠を別に持つという方法もあります。工夫次第では、アメリカのように自由で気ままな生活が送れるかもしれませんね。

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