あの金属製のゴツいバンパーはなぜ消えた!? 近年のバンパー事情

金属製バンパー

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ひと昔前のバンパーといえば、金属製のいかめしい作りでしたが、最近のバンパーはいろいろと様相が変わってきましたよね。今回は、バンパーの歴史とともに、近年のバンパー事情について紹介していきます。

文・吉川賢一
Chapter
バンパーの歴史
どうしてバンパーが必要なのか?
衝撃緩衝材の現在と未来
現在のバンパーには、センサーが多くある

バンパーの歴史

1980年代のバンパーは、フロントリアともに車のボディから独立して、スプリングを介して車体へと取り付けられていました。おもな素材は、鉄にメッキ加工したもので、コーナー部や表面に樹脂が貼られているタイプもあり、ぶつけて変形をしても板金修理が可能でした。
その後、1990年代には、ほとんどのメーカーのバンパーが樹脂製へと変わります。軽量でデザインの自由度も高かったのですが、強度がいまひとつで、割れやすく、修理する際には丸ごと交換しなければなりませんでした。
2000年代に入ると、ポリプロピレン製のバンパーが主流となりました。ボディと同色に塗装できることから見た目が美しく、また自由度が高いために、フロントバンパーにフォグランプを埋め込んだり、リアバンパーとマフラーを一体でデザインするようになりました。

そのため、本来のバンパー(衝撃吸収)としての役割が曖昧なものとなりましたが、スタイリングへの効果は計り知れないものとなりました。

どうしてバンパーが必要なのか?

1980年代までのバンパーは、衝突の衝撃を吸収し、ボディおよび乗員を保護することが役目でした。しかしその後、バンパーは、あえて壊れやすく柔らかい構造とし、バンパー自体をクラッシュエリアのひとつと考え、歩行者の脚部へのダメージを最小限に抑えつつ乗員も守るように工夫されるようになりました。

バンパーで受けた衝撃は、構造材(サイドメンバー)がつぶれることで吸収、同時にボディ各部に荷重を分散して吸収しています。また、バンパーカバーが斜め下方向に外れやすくもなっており、これにより歩行者の脚部を守る、という構造にもなっています。
 
現在のバンパーは、厚さ5ミリ程度の樹脂の皮であるバンパーカバー、金属製のリーンフォースメント(補強部材)の間に、発泡スチロールなどの衝撃緩衝材を挟んだ構造になっています。緩衝材で耐えられない衝撃は、リーンフォースメントが補う構造です。

衝撃緩衝材の現在と未来

近年、衝撃緩衝材として、バンパー内は発泡スチロールと同じ発泡プラスチックの一種である、発泡ポリプロピレン(EPP)が使われています。発泡スチロールの高機能版と言われ、衝撃吸収性がより高く、軽量で剛性もあり、耐熱、耐油、耐薬品性にも優れた素材です。

そのため、従来、鉄のフレームと軟質ウレタンで構成されていたリアシート内部材をEPPに変えることで、強度は変えずに鉄の使用量を減らす=軽量にすることを可能としました。その他にも、ドアの内側や、運転席・助手席の足元部分に使用されます。この背景には、自動車の軽量化=燃費向上があります。

現在のバンパーには、センサーが多くある

現在のバンパーには、前後方向を監視するミリ波レーダーや赤外線などの各種センサーが設置されています。

たとえば、走行中に歩行者と接触するとエンジンフード後方を持ち上げて、歩行者の衝撃を緩和するアクティブエンジンフードは、バンパーに内蔵された圧力センサーが衝突を感知し、作動します。今後の自動運転でも、バンパー内のセンサーは間違いなく活用されていくことでしょう。
1980年代から現在まで、バンパーの歴史を眺めると、衝突の衝撃から乗員を守るだけでなく、センサーを内蔵しての歩行者保護や、自動運転への活用と、多くの役割を担うようになってきたことがわかります。今後も、新技術を搭載し、どんどん進化していくことでしょう。

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