なぜ、スバルのシンメトリカルAWDが理想と言われるのか

スバルのAWDはこうして生まれた

スバル1000

「スバルといえば4WD」。そんなイメージが世間に広まったのは、1970年代にさかのぼります。

当時、四輪駆動車といえば、”オフロードを走るジープのような特殊な自動車”ばかりで、乗用車と4WDを結びつける発想はありませんでした。

転機は1970年に訪れます。東北電力から宮城スバルに「ジープより快適で、年間を通して使用可能な、現場巡回用車両が欲しい」との要請がありました。

そこでスバル(当時の富士重工業)は、FFの1000バンに日産 ブルーバード(510型)のリアアクスルをドッキングした四輪駆動車を製作しました。ちなみに、このときのエンジンは、バンよりもパワフルなff-1セダンの1,100ccでした。

その車両で、1971年の2月から東北地方の積雪地域において検証を行った結果、従来の乗用車とは比較にならないほどの走行性能と、ジープよりも優れた快適性が確認されました。これにより完成したモデルが「ff-1 1300Gバン 4WD」で、8台が試作され、東北電力と長野県の白馬村役場などに納入。さらに、同年の東京モーターショーでお披露目されることになります。

スバルが小型車市場に参入した最初のクルマであるスバル1000(1966年)は、エンジン振動が少ないというメリットに着目し、水平対向エンジンを採用しました。そしてそのわずか5年後、水平対向エンジンに4WDという組み合わせの『シンメトリカルAWD』の原型が誕生しました。

しかしff-1 1300Gシリーズは、すでに新型車のレオーネに移行することが決定していたため、量産化は「レオーネ エステートバン(1972年)」からになりました。

これにより4WDは、単に悪路走破性を高める機構ではなく、路面状況が変化しても快適に走れる装備として着目され、以降、他メーカーも4WDの乗用車を設定するようになります。

シンメトリカルAWDのメリット

シンメトリカルAWD

水平対向エンジンは、シリンダーが水平に寝ており、それが左右一対で向かい合う形式です。この方式は、直列式やV型に比べるとエンジンの全高が低いのが特徴です。そしてエンジンを低い位置に搭載することで重心も低く、左右の重量バランスにも優れています。

スバル車はこのメリットを生かし、エンジンの中心部分に位置するクランクシャフト、そしてトランスミッションからリアデフに至るまで一直線上にパワートレーンを配置して、左右対称(シンメトリ)の重量配分を可能としています。

この重量配分によって、4輪のタイヤにバランス良く荷重をかけることができ、AWDによるメリットをより一層高めることが可能になっています。

スバルは低重心、かつ理想的な重量配分がもたらすこの恩恵を最大の強みと考え、シンメトリカルAWDと呼んでいます。

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