ミニバンが低床になって、得すること4つ

トヨタ ノア Si ハイブリッド 2017

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ひと昔前のミニバンといえば、多くの人を乗せることができる背の高いクルマ(床も高め)というイメージでした。ところが、昨今は低床ミニバンが当たり前のようになってきています。多くのミニバンが低床化するには、なにか理由があるはず。ここでは、床が低くなるとどんな良いことがあるのか紹介しましょう。

文・吉川賢一
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メーカーはどうやって低床化しているのか?
ミニバンが低床になって得すること4つ

メーカーはどうやって低床化しているのか?

ここ数年、ミニバンといえば低床がスタンダードになってきました。とはいえ、単にクルマの車高を下げるだけでは、低床化は実現できません。なぜなら、クルマの床下には、燃料タンクやマフラーなどが配置され、むやみに車庫をさげると、それらが道路に擦る可能性があるからです。

そのため、最低地上高を確保しながら、床下に設置されている部品を薄くする必要があります。

たとえば燃料タンクは、通常40〜70Lの容量があります。それが床下に収まっているのですが、クルマにある部品のなかでもっとも大きく、厚みのある形状をしています。単純に容量を減らせば、車両の航続距離に影響しますので、おいそれと小さくするわけにはいきません。

そこでホンダ オデッセイでは、樹脂製タンクを部品と部品の間(スキマ)に入り込む形に成型にして、容量を変えずに低床化を実現しています。また、トヨタのシエンタは、燃料タンクを運転席や助手席の下に配置することで、低床を確保しています。

ミニバンが低床になって得すること4つ

①コーナリング時の姿勢が安定する

クルマの床が低くなると、クルマ全体の重心を下げることができます。もちろん、ルーフ高を下げるほうが、重心高を下げることには効果的ですが、低床化で乗員の着座高が下がることでも重心高の低下が期待できるのです。

重心高が下がると、コーナリング中の傾き(ロール角)が減り、4輪のタイヤが発生するグリップ力が安定。また、レーンチェンジをするときも、左右へのふらつきが減るので、操作性が改善する、というメリットがあります。

②乗り心地が改善する

サスペンションは、コイルスプリング、ショックアブソーバ、スタビライザー、リンク等で構成されています。

コイルスプリングには、走行中に路面から伝わる衝撃を和らげる機能があり、ばね定数は低いほうが乗り心地は良くなります。しかし、ハンドルを切ったときにはロール角が増大し、操縦性が悪くなります。このように、乗り心地と操縦性はトレードオフの関係にあります。

そこで、低床にすることで重心を下げることができれば、スプリングのばね定数を下げて柔らかくしても、コーナリング時のふらつきをある程度、リカバリーできるため、操縦性を犠牲にせずに乗り心地を良くすることが可能になります。

③さらに広い室内空間を得ることができる

天井の高さを変えなければ、低床になる分、室内高が増えます。トヨタ ノアなどは、室内高1,400mmで、小学校低学年程度の子供ならば、直立しても天井に頭が付かないほどのスペースが確保されています。

これだけ高いと、より室内空間が広がり、乗員は快適に過ごせます。また、自転車やベビーカーなどは、折り畳なくても積み込めるというメリットもあります。

④クルマへの乗り込みがしやすくなる

子供からお年寄りまで、さまざまな年齢層の方を乗せることが多いミニバン。クルマに乗り込む際に大きな段差を昇るのは大変ですが、低床であれば乗り降りがしやすくなります。

なかには、足元にステップ(階段)が装備されているものもありますが、低床であればそのまま乗り込めます。また、タイトスカートなど、足元の自由がきかない服装でも、乗り込みやすくなります。

ミニバンの低床化には、ハンドリングや乗り心地の改善、居住性の向上など、たくさんのメリットがあります。

日本市場において、とても需要の高いジャンルですから、今後も小さな改善を積み重ね、より良いミニバンが登場してくるでしょう。楽しみですね。

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