ハンドリングや乗り心地などに影響する機能部品「アッパーマウント」とは?

サスペンション アッパーマウント

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みなさんは『アッパーマウント』というパーツをご存知でしょうか。アッパーマウントとは、フロントとリアのショックアブソーバーにそれぞれ1個、合計4カ所についており、ハンドリングや乗り心地、ロードノイズ等に影響する、とても重要な機能部品です。今回は、このアッパーマウントについて紹介します。

文・吉川賢一
Chapter
アッパーマウントとは何か?
マクファーソンストラット式サスペンションにおける、アッパーマウントの役割
アッパーマウントの劣化
スポーツ走行用の特殊なアッパーマウントもある

アッパーマウントとは何か?

アッパーマウントは、ショックアブソーバーとボディの間に介在するパーツで、おもにアルミニウムや鉄で作られたケースのなかに、ゴムブッシュを配置した構造となっています。

見た目は地味ですが、ダイレクトなハンドリングを実現させたり、不要な振動を遮断して、快適な乗り心地をもたらすことに貢献しています。

マクファーソンストラット式サスペンションにおける、アッパーマウントの役割

フロントのサスペンションに使われている、マクファーソンストラット式の場合、ステアリングを操舵すると、タイヤの転舵と合わせて、ショックアブソーバーとコイルスプリングのアセンブリーも回転するため、アッパーマウントは回転軸としての機能も持つことになります。

ちなみにダブルウィッシュボーン式の場合、ショックアブソーバーとコイルスプリングのアセンブリーは回転しません。

また、コーナリングの際には、ショックアブソーバとコイルスプリングが左右へ押されるときの荷重を支える役割も担っています。そのため、アッパーマウントには、上下や左右の荷重に加え、ねじりの方向にも大きな負担がかかります。

アッパーマウントの劣化

不快な振動を遮断したり、ねじれたりと、つねに仕事をしているアッパーマウントは、走行距離や時間経過によって、劣化をしていきます。劣化が進み、アッパーマウントにひび割れや亀裂が発生すると、ハンドリングや乗り心地、騒音や振動などに、悪影響を及ぼします。

その症状は、走行中に足まわりがガタついたり、クルマが真っすぐ走らなくなったり、ブルブルという振動が発生したりと、全体としてボディが”へたった”印象を受けます。また、ゴトゴトやコトコトといった異音を発生するので、注意深いドライバーはすぐに気が付くでしょう。

ところがサスペンションには、他にもいたるところにブッシュが使われており、アッパーマウントのゴムだけが、特別に劣化が早いということではありません。

アッパーマウントがダメージを負っている、という状況では、他の部位にも劣化や不具合が生じている可能性があります。「なんか、足まわりがおかしいな」と感じたら、ディーラーなどで劣化した部品が他にもないか、しっかりとチェックしてもらうことをおすすめします。

スポーツ走行用の特殊なアッパーマウントもある

サーキット走行用のアフターパーツに、ピロアッパーマウントというものがあります。これは、鉄とベアリングで構成されたアッパーマウントのため、ゴムのようなたわみがない分、よりダイレクトなハンドリングとなります。

ただし、乗り心地やロードノイズを考慮していないため、快適性は期待できません。

また、振動がダイレクトに伝わるので、車体側のアッパーマウントの取り付け点にダメージを与えたり、溶接してある車体のパネルを破壊するなど、周辺の部品を痛める原因になり、車両の寿命を縮めることもあります。


アッパーマウントは、サスペンションの性能を引き出すために、無くてはならないパーツです。私たちが、クルマで快適に移動できるのは、アッパーマウントのようなパーツの一つ一つが、しっかりと機能してくれるおかげなのです。

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