コーナリング時に重要な役割をもつ「ロールステア」とは?
更新日:2020.01.09
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まっすぐな道を走っていても、自動車のサスペンションは絶えず上下にストロークしています。このときタイヤの向きは、微小に変わっています。勝手にタイヤの向きが変わってしまうなんて!と感じるかもしれませんが、じつはこのことがコーナリング時に、とても重要な役割を担っているのです。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
- Chapter
- ロールステアとは、なんのこと?
- どんなシーンで役に立っているの?
ロールステアとは、なんのこと?
車体が左右どちらかに傾いた(ロールした)とき、サスペンションのストロークに応じて、車体に対するタイヤの向き(トー角)が変化することを「ロールステア」といいます。
ロールステアは、一般的にコーナリング中に車両特性がアンダーステアとなるよう、セッティングされています。前輪では荷重がよりかかる外輪側がトーアウト方向(旋回外側にじわっと向く)、内輪はトーイン方向への変化をします。後輪ではその逆に外輪がトーイン(旋回内側にじわっと向く)になります。
このステア特性によって、コーナリング中の車両は安定します。このロールステアは、サスペンションのアームの取り付け位置や角度、長さなどによって機構学的に変化します。
ロールステアは、一般的にコーナリング中に車両特性がアンダーステアとなるよう、セッティングされています。前輪では荷重がよりかかる外輪側がトーアウト方向(旋回外側にじわっと向く)、内輪はトーイン方向への変化をします。後輪ではその逆に外輪がトーイン(旋回内側にじわっと向く)になります。
このステア特性によって、コーナリング中の車両は安定します。このロールステアは、サスペンションのアームの取り付け位置や角度、長さなどによって機構学的に変化します。
どんなシーンで役に立っているの?
街中を走行しているときや、住宅街をゆっくりと走るときは、ロールステアの恩恵は感じられません。しかし、高速道路を走行しているときや、コーナーの続くワインディングなどで、ロールステアはとても重要になってきます。
ワインディングを走るシーンを想像して下さい。長いコーナーを旋回している最中に車速を上げると、車両の進路はこれまで描いていた旋回軌跡から外れます。このとき外側へ外れることをアンダーステア、内側へ外れることをオーバーステアといいます。
一般的には、車両が外側へ外れるアンダーステアのほうが好ましいと言われます。なぜなら、旋回Gとドライバーの感覚が、ある程度一致しているため、車速が上がり旋回Gが増えた場合、そのぶんだけハンドルを切り足したほうが、ドライバーは自然に感じるためです。
対して、旋回内側へ切れ込んだ場合、コーナーとは逆方向へハンドルを切る必要が出てきます。これをカウンターステア、もしくはドリフトといいますが、通常の感覚とは異なるハンドル操作をするため、ドライバーにとっては恐怖となりえます。
このステア特性を決めている大きな要素が、ロールステアです。
ワインディングを走るシーンを想像して下さい。長いコーナーを旋回している最中に車速を上げると、車両の進路はこれまで描いていた旋回軌跡から外れます。このとき外側へ外れることをアンダーステア、内側へ外れることをオーバーステアといいます。
一般的には、車両が外側へ外れるアンダーステアのほうが好ましいと言われます。なぜなら、旋回Gとドライバーの感覚が、ある程度一致しているため、車速が上がり旋回Gが増えた場合、そのぶんだけハンドルを切り足したほうが、ドライバーは自然に感じるためです。
対して、旋回内側へ切れ込んだ場合、コーナーとは逆方向へハンドルを切る必要が出てきます。これをカウンターステア、もしくはドリフトといいますが、通常の感覚とは異なるハンドル操作をするため、ドライバーにとっては恐怖となりえます。
このステア特性を決めている大きな要素が、ロールステアです。
他にも、高速道路で走っている際、不意に突風を横から受け、風下側にロールした際にも、ロールステアによるアンダーが役立っています。
たとえば、歩いているときに横から風を受けたとき、身体には風上側に向かって進もうとする力が働きますよね。それをクルマに置き換えて考えると、走行中に横風を受けたクルマが左右どちらかの風下側に振られそうになった場合、ドライバーはその反対側(風上側)にハンドルを切りたくなります。
つまり、クルマが風で流される方向とは逆方向にハンドルを切ったほうが、ドライバーとしては自然。条件反射的に、ステアリングを操作できます。これもアンダーな特性から生まれています。
ちなみに、サスペンション形式によりますが、ブッシュのたわみを使ってトーをコントロールする、コンプライアンスステアというサスペンション特性もあります。こちらでも、ステア特性をコントロールすることができます。
たとえば、歩いているときに横から風を受けたとき、身体には風上側に向かって進もうとする力が働きますよね。それをクルマに置き換えて考えると、走行中に横風を受けたクルマが左右どちらかの風下側に振られそうになった場合、ドライバーはその反対側(風上側)にハンドルを切りたくなります。
つまり、クルマが風で流される方向とは逆方向にハンドルを切ったほうが、ドライバーとしては自然。条件反射的に、ステアリングを操作できます。これもアンダーな特性から生まれています。
ちなみに、サスペンション形式によりますが、ブッシュのたわみを使ってトーをコントロールする、コンプライアンスステアというサスペンション特性もあります。こちらでも、ステア特性をコントロールすることができます。
一般的に、メーカーが車両のステア特性を、アンダーステアに設定している理由は、コーナリング中や、外乱を受けたときの安定性を確保するためです。
どのメーカーも車種ごとに、ロールステアの大きさを適切に設計しているからこそ、私たちは安心してドライビングを楽しむことが可能なのです。
どのメーカーも車種ごとに、ロールステアの大きさを適切に設計しているからこそ、私たちは安心してドライビングを楽しむことが可能なのです。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。