必要?それとも不要? 新車購入すぐの慣らし運転

車 走行

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クルマについてよくある質問「新車を買ったら慣らし運転はしたほうが良い?」この答えは、聞いた人によってわかれるところです。いまから20年くらい前は、必ず「やったほうが良い」という意見が多かったのですが、最近は「不要」という意見が増えてきています。どちらの意見が正解なのでしょうか?

文・吉川賢一
Chapter
自動車メーカーの意見はどっち?
慣らし運転が必要だと言われていた理由

自動車メーカーの意見はどっち?

自動車メーカーの見解を調べてみました。まずはトヨタ自動車。ホームページ上の「よくある質問」に、”慣らし運転はした方がよいですか?”という問いがあります。この答えは

『慣らし運転の必要はありません。ごく一般的な安全運転に心がけていただければ、各部品のなじみは自然と出てきます。お客様が新しい車に慣れられるための期間を慣らし運転の期間と考えてください。』

とあります。20年前のように”決められた距離になるまで、エンジン回転数を一定数以上回してはいけない”といったルールはなく、ごく一般的な安全運転を行うことで、慣らしになるいうことです。

次に日産自動車のホームページの車種別の「取扱説明書」でノートの場合。

『走行距離が1,600kmに達するまでは、エンジン性能を最大限に引き出し、お車の信頼性と経済性が実現されるよう、次の推奨事項に従ってください。推奨事項に従わないと、エンジン寿命が短くなり、エンジン性能が低下するおそれがあります。
• エンジンの回転数を4,000rpm以上に上げない。
• アクセルを完全に踏み込んで走行しない。
• 急発進は避ける。
• 可能な限り急ブレーキは避ける。』

また、スカイライン(V37)の場合は、

『エンジン本体、駆動系などこの⾞両の持っている性能を⼗分に引き出すためには、ならし運転が必要です。⾛⾏距離約1,600kmまでは適度な⾞速、エンジン回転数で運転してください。』

となっており、日産ではエンジン性能を最大限に引き出し、信頼性と経済性を実現するための目安として、走行距離(と回転数)が記載されています。

ただし内容を見ると、アクセルペダルのべた踏みや急発進、急ブレーキといった、一般的にはあまりやらないことも書かれており、トヨタが推奨する”ごく一般的な安全運転”と同じ趣旨と理解できます。

つまり、トヨタ、日産では「慣らし運転だからと細かく回転数を意識する必要はなく、通常の安全運転を行えば問題ありません」という趣旨の発信がなされています。

これには、販売される車両のほとんどがAT車ということも関係しているのかもしれませんね。

さて、なぜ昔から新車の慣らし運転が推奨されているのでしょうか?

慣らし運転が必要だと言われていた理由

昔から新車の慣らし運転が推奨されている理由がいくつかあります。

まず、駆動箇所にアタリを付けること。エンジンやトランスミッション、サスペンション、ブレーキなどの可動部分は、工場で組み立てられた後、間もなくユーザーの元へとデリバリーされます。その間には、工場内のラインから出て走行検査も行われますが、長い距離を走ることはないため、各部品間で馴染みが出ていない可能性があります。

そのため、いきなり急が付くような激しい使い方をすると、部品間にイレギュラーな荷重が入り、おかしな癖がついた状態で馴染んでしまいます。できるだけ、スムーズにアタリ・馴染みを付けることが出来ないと、異常振動や異常摩耗の原因にもなり、本来の性能を出すことが出来ず、寿命を縮めることにもなりかねません。

また、運転に自信があるドライバーであっても、車が変われば慣れるまでにはある程度の時間が必要です。アクセルやブレーキの効き、ステアリングの操作感覚、ボディの見切りや、後方視界など、メーカーや車ごとに異なります。ドライバーが慣れるという点からも、ある程度抑えながら車の性能を把握する期間が必要だ、ということだったようです。


20年前には、新車を購入したら、○キロまでは△千回転、□キロまでは▲回転などと決められていた慣らし運転ですが、現在はエンジンの回転数を意識することなく、通常の安全運転である程度の距離を走行すれば慣らし運転になる、というのがメーカーの見解。一部のスポーツモデルを除けば、特別意識して慣らし運転を行う必要はないようです。

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