サスペンション形式でわかるSUVのキャラクター

オフロード志向の「リジッドアクスル式」

無題

そもそもサスペンションの役割とはなんでしょうか。それは路面の凹凸に合わせて車輪を動かして追従させ、同時に路面からの衝撃を吸収して快適な乗り心地を確保することです。ですが、それだけはありません。車体のなかにおいて、車輪や車軸を適正な位置になるように決める役割もあるのです。

本来のSUVは、ピックアップトラックやオフロード4WDがベースになっており、サスペンションは「前後リジッドアクスル式」を採用していました。このサスペンションは、オフロード車に向いていると言われています。

左右の車輪がアクスル(車軸)でつながれたもので、ホーシングと呼ばれる頑丈なケースのなかに、駆動系がすべて収まっています。つまり、仮に岩などの障害物にサスペンションがヒットしたとしても、よほどのことでなければダメージを受けません。

また、アクスルの中心を支点にしてサスペンションが上下するため、スプリングが収縮しても最低地上高に変化が起こらないため、オフロード志向の車には向いていると言えます。

さらに、リジッドアクスル式は両輪が車軸で結ばれているため、凹凸な路面を走っている時に片輪が持ち上がると、反対の車輪には路面に押しつける力が働きます。これは摩擦係数が低い未舗装路おいて、タイヤのトラクションを有効に使う助けになります。

ジープ ラングラーやスズキ ジムニーなどは、このサスペンション形式を採用しています。昔はシンプルな構造で頑丈なことから、リーフスプリング(板バネ)を組み合わせることが多かったのですが、現行車両はすべてコイルスプリングが採用されています。リーフスプリングはトラベル(稼働)量が少なく重いため、路面追従性が悪く、運動性能や乗り心地の点で不利だからです。

それでも、バネ下には重いアクスルや大径タイヤといった重量物が装着されているため、高速道路での直進安定性、ワインディングロードでは操縦性が良好とは言えません。そのため高性能化が進むSUVのなかでは、希有なサスペンション形式となってしまいました。

ランクルは、オンとオフのいいとこ取り?

トヨタ ランドクルーザー 2018

世界的に道路インフラが向上していくなかで、従来からあるオフロード4WDは、さらなる進化を求められることになりました。僻地では悪路走破性が、都市部では快適で軽快なドライブフィールを発揮することがユーザーニーズだったのです。

そこで、オフロードSUVの代表モデルであるトヨタ ランドクルーザーは、100系からフロントにダブルウイッシュボーン式、リアにリジッドアクスル式+コイルスプリングという形式を使います。

つまり、操舵感などに影響のおおきいフロントサスペンションは独立懸架式、荷重がかかりやすいリアサスペンションにはリジッドアクスル式を使って、いいところ取りをしたのです。

ダブルウイッシュボーン式は、ロアアームとアッパーアームという上下2本のアーム、コイル&ダンパー(ショックアブソーバー)で構成されています。ストラット式に比べると、路面からの衝撃に強く、さらに動いた時のキャンパー角の変化が少ないため、タイヤのトラクションが重要なオフロードにおいても有利だと言われています。

オンロード重視の独立懸架式

トヨタ RAV4 初代

これまで出てきたサスペンション形式は、ラダーフレームというボディ構造とセットでしたが、さらに時代が流れると、SUVの性能のなかで重視されるのはオンロード性能ということになっていきます。雪道やちょっとしたラフロードを走ることができれば、あとはオンロードが快適なほうがいいということになってきました。となると、重量が重いリジッドアクスル式は不利です。

クロスオーバーSUVの先駆けとも言える国産車トヨタ RAV4とホンダ CR-Vは、モノコックボディに4輪独立懸架式サスペンションを採用した画期的な車でした。

独立懸架式サスペンションは1輪ずつ独立して動くサスペンションで、リジッドアクスルのように反対側の車輪の動きに影響されません。またサスペンションのジオメトリーが複数のリンクでより精密に定められているため、車輪は理想的な接地を行います。

さらにバネ下重量が軽いため、動きがスムーズで複雑な凹凸の道でもより高い路面追従性を発揮するというメリットがあります。反面、構成部品が複雑でコストが高くなったり、路面からの強い衝撃、障害物へのヒットでダメージを受けやすいというデメリットがああります。

トヨタ C-HR 2016

21世紀に入ると、SUVも運動性能に加えて、燃費や衝突安全性が重視されるようになり、モノコックボディで4輪独立懸架式サスペンションのモデルはさらに増えていきます。現在では、フロントはマクファーソンストラット式かダブルウイッシュボーン式、リアはマルチリンク式といったSUVもスタンダードとなりました。

FFモデルは、リアにハッチバックやセダンと同じトーションビーム式を使っている車種も少なくありません。こうした傾向は、SUV以外の車とプラットフォームを共有することが多くなったからという要因もあります。

前項で“オフロードではリジッドアクスル式が向いている”と書きました。たしかに独立懸架式は、リジッドアクスル式に比べて路面からの衝撃に弱く、サスペンションやその取り付け部分にダメージを受ける場合があります。

ですが、昨今のSUVでは4輪が独立懸架式でも、車体などに補強を入れることで、悪路への対応をしています。激しいクロスカントリー走行はやめておいたほうが無難ですが、ちょっとしたオフロード走行なら、十分にこなしてくれます。

また独立懸架式は別々に車輪が動いてしまうため、タイヤを押しつける力が足りなく、トラクションの面で不利と言われてきました。ですが、最近の車は2WDでも4WDでもトラクションコントロールの進化が著しく、リジッドアクスル式でなくてもかなりのオフロード走行をこなすことができるようになっているのです。

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