開発車両をサーキットで走らせる。すべては「安全で良い車を作る」ために…

車両開発における「試作テスト」とは

テスト車両

自動車メーカーが新型車を世に送り出す、と決定してから実際にデビューするまでには、通常5〜6年かかると言われています。

開発から実車の完成までには、どんな車を作るのかというコンセプトやビジョンの策定に始まり、デザイン、設計、試作、生産性の検討、工程計画、生産、組立、検査と、おおまかに並べてみてもこれだけあるわけで、さらに各工程での試行錯誤を組み入れると、膨大な作業から成り立っていることがわかります。

数十年前、新車の開発は、試作車テストの段階が非常に重要で、設計後、試作車を作ってテストして不具合を見つけて再設計、もう一度試作車を作り…これを繰り返して、生産車を作り上げていくという方法がとられていました。

しかし現在では、車両の構造や衝突安全性、強度などついては、ほとんどがコンピューターのシミュレーション技術で開発できるようになったため、試作車そのものは、最終確認用に作るだけで済むようになりました。

そのため、自動車情報誌やインターネットで見かける写真は、車両開発の最終段階に近い状態です。

開発車をサーキットで走らせると、なにがわかる?

テスト車両

有名なドイツのサーキット・ニュルブルクリンク北コース(通称:ニュル)で開発車を走らせ、「FF最速!」とか「市販車のラップタイム更新!」といった話題を目にすると、メーカーはラップタイムを競うために開発車を走らせているのかと思うかもしれません。

たしかに、ライバルよりも良いタイムが出れば宣伝になり、同時に車の性能の高さをアピールすることもできます。しかし、これが開発車をサーキットで走らせる、本来の目的ではありません。

サーキットなどを利用して車を全開で走らせるということは、日常生活で走らせるのとは比較にならないほど、車両に高負荷をかけることができます。ブレーキ、足回り、シャシー、エンジンすべてにおいてです。

たとえば、前述のニュル1周(約21km)を全開で走行すると、一般道の2,000〜3,000kmに相当する負荷がかかると言われています。そうしたコースを全開走行することで、コンピューターシミュレーションでは洗い出せなかった車両の細かい挙動や、各部品の熱害、制御システムの誤作動を確認することができるのです。

「良い車を作る」ためにサーキットを走らせる

テスト車両

普段、サーキットで走るわけでもないのに、それほど過酷な条件に合わせて車を作らなくても…と思うかもしれません。しかしメーカーが販売した自動車がユーザーの手に渡った後、その車はさまざまな条件のもとで使用されることになります。

渋滞の多い道を頻繁に走る、高速道路をおもに使用している、未舗装路、うねった道などなど、国や生活様式によって、車の使われ方は変わりますです。

自動車メーカーは、販売する車がどんな状況で使用されても「安全」であることを目指しています。サスペンションの上下荷重やブレーキ、エンジンの負荷について、普段の使用状況をはるかに超える部分で実車検証ができているからこそ、どの速度域でも安心して乗れる「良い車」を作ることができるのです。それはSUVでもワンボックスカーでも同様に、メーカーによって確認がされています。

『安全で良い車』を開発するために、各メーカーは、開発車両のサーキット走行をしています。近年は、「自動運転車」の開発にもサーキットが用いられており、高い速度域での緻密な状況判断など、これまでにない情報収集にも利用されています。

今後も、車両開発において、各メーカーがどのようにサーキットを使用していくのか、注目していきたいですね。

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