なぜ昔はフロントガラスが2分割式だったのか

自動車の高速化によるフロントガラスの普及

メルセデス 1903年

黎明期の自動車は当然ですが普及台数も少なく、最高速度はわずか時速20km前後でした。この速度では、運転手が息もできないほどの風圧を感じたり、身体を保護する機構は必要ありません。そのため、フロントガラスは存在しませんでした。

しかし自動車の登場から10年。ダンロップが空気入りタイヤを発明し、多くの発明家の手によってエンジン性能が劇的に向上。自動車の最高速度が高まるにつれて、乗員はゴーグルを装着するようになります。

そうして1900年代に入ると、視界を確保するための安全部品としてフロントガラスが採用され始めました。しかし当初はオプション装備品で、標準装備としたのは、1915年のオールズモービルでした。

上下2分割式を採用した理由

フォード モデルT

最初のフロントガラスは、水平に分割されたものでした。また、建築で使用される窓ガラスと同一のものを使用していたため、細長い長方形で、自動車のフロントガラスに使うには不向きでした。そこで2枚を上下に配置して、広い視界を確保したのです。

当時のガラスは傷が付きやすく、上半分のガラスが傷つき視界が損なわれるようになった時には、中央部分のサッシから折りたたむことも可能になっていました。

左右2分割式を採用した理由

フロントガラス

単板ガラスを使用した平面のフロントガラスは、ドライバーの視界を確保し安全を守る”ついたて”としての役割を果たしていましたが、巡航速度の高速化にともない空気抵抗が問題になります。

従来のついたてのようなデザインでは、ウインドウに風圧を直接受けてスピードが上がりません。そこでフロントガラスに傾斜を付け、風を後ろに逃がす工夫が生まれます。流線型ボディの場合はフロントガラスをV字型に配置するため、左右2分割式になっていました。

キャデラック シリーズ62 クーペ ドゥビル

※画像はキャデラック シリーズ62 クーペ ドゥビル(1949年式)

アメリカのメーカーがフロントに合せガラスを採用したのは、意外に古く第2次大戦前といわれます。一方、フィルムをガラスに添付した耐破砕性ガラスは、大戦前にヨーロッパで開発されています。

現在のフロントガラスには、空気抵抗の低減とデザイン性のため曲面ガラスが使用されています。しかし当時は曲面ガラスの製造が難しく、世界で初めて市販車に採用したメーカーは、1948年のキャデラックとされています。それから約40年、日本で前面に合せガラスを使うことが義務化されることになります。

このように、フロントガラスはさまざまな変化を経て、現在のスタイルに落ち着いたのです。

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