可愛い一つ目小僧「フジキャビン」って知ってる?

フジキャビンのエンジニアリング

フジキャビン

フジキャビンに搭載されたエンジンは空冷2ストローク単気筒121ccで、最高出力5.5ps/4,400rpm、最大トルク0.94kg・m/3,300rpmを発揮しました。

これをキャビン直後、後輪前方の床下にエンジンを配置していたので、自動車流にいえばMRレイアウトとなりますが、実態はオートバイのエンジン搭載位置を後方に移動させ、前輪とエンジンの間の空間にキャビンを架装したものでした。

このエンジンに電動スターターは装備されておらず、キックスターターペダルのみ。変速機は前3段のマニュアルで、運転席右側にシフトが設置されています。前にシフトレバーを倒すことで、ギアは1→2→3段と切り替わります。

アクセルとフットブレーキは現在の自動車と変わらない配置で、パーキングブレーキはありませんでした。

前2輪/後1輪のタイヤ配置がユニークなフジキャビンですが、最大の注目ポイントは、FRPで一体成型されたモノコックボディです。

当時としては画期的な素材と製法で作成されており、通常部位で3層、強度が必要な部位は8層構造と凝った作りになっています。助手席が運転席より200mm後方にオフセットされる2座のシートもまたFRPで、フロアパネルと一体成型されています。

デザインはまさに現代のマイクロモビリティ顔負けの流麗さで、丸型単眼ヘッドライトがボディ中央に鎮座します。ウインカーはボディからステーを介して設置されており、どことなくユーモラスな印象です。

FRP製の車体は軽量で初期型が140kg、その後運転席側にもドアを設定しますが、それでも150kgしかありませんでした。

日本自動車産業のマイルストーン?

フジキャビン 5A型はオートバイのメカニズムをベースにしながら、非力なエンジンに合わせた軽量ボディを作成するなど、制約のなかで目一杯工夫を凝らしたモデルでした。

しかし、FRPボディの製作が大量生産に向いていなかったこと、当時はまだ路面が悪くボディにクラックが発生しやすかったこと、さらに操作性や居住性も悪かったことなどの要因で、商業的には失敗に終わりました。そのため、製造期間は2年、製造台数は85台に留まっています。

しかし、フジキャビンは大衆向け自動車の先駆けであり、その後の日本におけるモーターリゼーションに影響を与えたことは間違いありません。

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