スタビライザーがもつ重要な役目とは?

スタビライザーの効果とは?

スタビライザー

一般的に乗用車のスタビライザーは、パイプ状のパーツで、左右のサスペンションを繋ぐように、可動するリンク上に取り付けられ、ブッシュを介した2か所のポイントで車体に固定されています。

パイプは、中空もしくは中実の鋼材で、形状はU字型やコの字型をイメージされることが多いですが、実際にはサスペンションアームやエンジン、マフラーなどをよけるため、複雑に折り曲げられています。

左右輪が、同じタイミングで同じ量だけストロークをすれば、スタビライザーは車体側の取り付け点を支点にして回転するだけで、アンチロール力は発生しません。

コーナリング時に横向き加速度が車体にかかり、ロール角が大きくなった時、スタビライザーにはリンク機構によってアンチロール力が発生します。サスペンションのコイルスプリングを硬く設定をしなくてもロール角を抑えることができるため、まっすぐ走った際の乗心地との両立にはなくてはならないパーツです。

ところが、悪路などで片輪が凸凹を通過するような条件では、スタビライザーは悪さを働き、振り子のような揺れを生じやすくなります。それにより跳ね上げられるような動きが反対側のサスペンションへも反動が来るため、かえって乗り心地が悪くなるという逆効果が生まれてしまいます。

乗り心地を重視した車両のセッティング

ストラット サスペンション

一般的な乗用車の場合、スタビライザーの捩じり剛性は、リアよりもフロントのほうが高く設定されています。

その理由は、適切な弱アンダーステアの車両挙動を確保するため、前後のロール剛性配分を前寄りに決めているためです。通常、スプリング定数は、軸重に対するスプリングの硬さ(ばね上固有値)を、前・後輪で合わせることが多いため、スタビライザーで剛性差をつけます。そのためフロントのスタビライザー剛性は高く、リアは低くなります(視覚的にも細い場合が多い)。

とはいえ、高級車のなかには、リアのスタビライザーが装着されていないクルマもあります。

後席の乗り心地に高いレベルが求められる日産の最高級車であるシーマなどは、たとえ走行中でも、後席に乗った人が文字を書けるくらいの乗り心地を実現するため、リアスタビライザーを外した設定を前提に、設計がなされています。

スタビライザーの無いスーパーカー

マクラーレン 720S

通常、スポーツカーにスタビライザーはマストアイテムです。ところが、マクラーレン720Sというスポーツカーは、スタビライザーが装着されていません。なぜ必要ないのか、その理由は2つあります。

ひとつは、前後左右のショックアブソーバーが協調するプロアクティブ シャシー コントロールIIの採用です。クルマがロールするような状況では瞬時に硬く、またラフな路面ではいなすように、前後輪のショックアブソーバー特性(おもに油圧)を、連続的にコントロールしています。

2つめは、車両重心が低いため、ロールモーメントアーム(前後のロールセンター軸と重心との距離)が非常に短く、横Gが車両にかかってもロール角が発生しにくいため、機械的なスタビライザーが不要となりました。

そのおかげで、スポーツカーとは思えないほどの、抜群の乗り心地の良さも持ち合わせています。設計次第ではこういった車両も作ることができるのです。

スタビライザーは単なる鋼管に見えますが、剛性が高ければよいという単純なロジックではなく、繊細な設計理論のもとで設定されています。ロール角の抑制、乗り心地の両立と、両面の役割を担っているスタビライザーは、シャシーセッティングにおいて、非常に重要な役目を持っているのです。

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