自動車メーカー内で同じフェイスを採用する理由

グリルの意匠合わせをするのはなぜか?

キドニーグリル

有名なのは、ジャーマンスリーと呼ばれるBMW、メルセデス、アウディ。

BMWは”キドニーグリル”という意匠を、セダンやSUV、クーペ、さらにはル・マン24時間耐久レースに出場したレーシングマシン(意味をなすのか疑問ですが…)にいたるすべてのモデルに一貫して使い続けています。その影響か、モデルチェンジが行われても、新型BMWは一目でBMWだとわかります。

メルセデスのスリーポインテッドスターが付いたフロントグリルも、メルセデスの車種すべて共通で装着をしています。昨今のメルセデスのグリルにあるエンブレムは、徐々に大型化しており、その個性を一段と強めています。

他にも、アウディのシングルフレームグリル、レクサスのスピンドルグリルなど。各社は同じ意匠を持ったフロントデザインを採用しています。

その最大の目的は、「ブランドとしての一体感を出す」ということ。しかも、車型を超えてブランドをイメージしやすいように、名前もボディ形状や大きさのみを変えることが多いです。

1台でクルマを訴求するよりも、一体となってブランドを打ち出すことで、強烈な印象を付けることができます。

日本メーカーの海外ブランドの状況は?

レクサス スピンドルグリル

最近は、日本メーカーもフロントグリルの意匠を合わせるようになりました。

トヨタの高級車チャンネルのレクサスは、2012年ごろからスピンドルグリルという、砂時計のような形のグリルを採用。現在その形状は、だんだんと派手さを増し、これ以上ないくらいにフロントバンパーを覆うようになりました。

新型LSもまた巨大なスピンドルグリルを装着しており、大迫力な顔つきは賛否両論のわかれるところです。

インフィニティ QX50 2017 フロントグリル

また、日産が海外で展開する高級車チャンネルのインフィニティも、共通したグリルの意匠を採用しています。レクサスのスピンドルグリルに近い形状ですが、こちらは若干控えめな大きさで、中央にインフィニティの大きなエンブレムが入り、その周りを囲うようにデザインされています。

いっぽうホンダが海外で展開する高級車チャンネルのアキュラは、五角形グリルで合わせているものの、NSXとTLX、ILXなど、形状は若干ばらばらで統一感があまりないように見てとれます。

国内メーカーでのグリルの意匠合わせの状況は?

CX-5

より身近な、国内で販売しているメーカーの状況を見てみます。

トヨタは、車種ごとにばらばらの意匠をしています。ミニバンタイプだと、アルファード/ヴェルファイア、ボクシー、エスティマ、シエンタ、これらはじつにバラエティに富んだフロントグリルをしています。

ギラギラな迫力を前面に押し出したようなコンセプトは共通するものの、造形に関する統一感はありません。日産(最近になりVモーショングリルを採用始めた)やホンダ、三菱、スバルも、種類豊富なグリルをしています。

唯一マツダだけは、グリルの意匠を合わせています。五角形グリルの中央にマツダエンブレムを配置し、これをコンパクトーカーのデミオから、大型SUVのCX-8まで、同様のコンセプトを織り込んでいます。

ちなみにテーマカラーもマツダのレッドで統一されており、日本メーカーのなかでは統一感を狙った、稀有な存在です。

日産 リーフ 2018

フロントグリルの意匠は、「伝統を守る=ブランドとして価値が高い」という概念を表したものだと考えられます。しかし、日本車のように、雑多な形状、種類のクルマが販売されている状況では、共通のデザインを与えてしまうと制約となり、その時のデザイントレンドに追従できないことになりえます。

そこで、長年築いてきたデザイン要素を、上手にトレンドに載せて全体デザインに織り込めるか。それが、自動車メーカーデザイナーの腕の見せどころになるのです。

この記事をシェアする

関連する記事

最新記事

     
アヘッド Car & Motorcycle Magagine ahead archives