首都高生誕50年 vol.5 これからの首都高

首都高生誕50年 vol.5 これからの首都高

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日本的という言葉がネガティブなニュアンスで使われることが多い昨今。しかし僕が取材を通して首都高に抱いたのは真逆の印象だった。建設技術、メインテナンス、オペレーションなど、どれをとってもとにかく緻密なのである。

地価が高く、人口が密集した首都圏を縫うようにして走るべく首都高速の95%はトンネルや高架橋といった構造物で構成されている。日本の他の高速道路の構造物比率がわずか24%であることを考えると突出した数値だし、世界的に見てもこれほど構造物比率の高い高速道路はないだろう。

となれば当然、保守管理には大変な労力がかかる。また、日本の特殊事情としては地震に対する万全の備えも求められる。渋滞対策の根本的解決方法である新規路線整備に関しても、限られたスペースのなかで、周辺住民の生活に配慮しつつ建設を進めなければらない。

開通から50年。こうした数々の困難を通じて蓄積した膨大なノウハウと、日本人にしかできない緻密なオペレーションが、1日100万台、180万人の乗員を「安全、安心、快適」にさばく世界でも例を見ない大都市内道路ネットワークを支えているのだ。

では、首都高は今後どう変わっていくのだろうか。東京23区の物流の実に30%を占める交通の大動脈という役割は今後も変わることはないだろう。

2008年に発生した5号池袋線のタンクローリー火災事故や、東日本大震災の影響による首都高の通行止めが都内一般道路の大渋滞を引き起こしたことを考えると、もはや首都高を抜きに首都圏の自動車交通が成立しないのは明らかであり、だからこそこれからの首都高には、より快適なクルマ社会を実現するという大きな責任が課せられている。

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▶︎首都高のあらゆる情報がリアルタイムで集まる交通管制室。大型スクリーンは幅約17mもある。


2013年度に中央環状線の大橋ジャンクション~大井ジャンクション間の開通が予定されるなど、渋滞緩和に向けたネットワーク整備は着々と進んでいるし、完成後50年経った高齢化路線の補強工事や、大規模地震に対応するための工事も鋭意進められている。

加えて、首都高が積極的に取り組んでいるのがITの活用だ。

首都高の道路交通管制システムは1969年のスタート以来継続的にアップデートを繰り返してきた。最初は「○○方面渋滞中」というシンプルな情報提供のみだったのが、73年には渋滞長の表示が可能になり、'85年には情報提供までのタイムラグが最少12分から1分に短縮。

'97年には断続渋滞などの渋滞度の表示や渋滞と所用時間の交互表示、'06年には所要時間の増減表示、'09年には障害情報に車線情報も追加された。

情報の収集は約300mおきに設置されている車両感知器やテレビカメラの他、非常電話や携帯電話からの通報、交通パトロール隊からの無線通信によって行われ、それらを24時間稼働の交通管制室で分析。電光掲示板、電話、インターネット、VICS等を通じてドライバーに提供している。

機能としてはほぼ完成形と言っていいが、今後はVICSの進化形であるITSスポット、ナビメーカーなどとの協力により、多くのドライバーが的確な情報を簡単かつ確実に入手できるシステムの構築を目指していくという。

具体的な方向性としては、道路設置タイプの図形情報板は視認性の高いシンプルなタイプに、一方で車載機ではより密度の高い情報を提供することが検討されている。

世界でもっとも緻密でハイテクで効率が高く安全な高速道路を目指し、首都高は進化し続けていく。

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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