岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.41 トヨタ流・バランスの方程式

VOL.41 トヨタ流・バランスの方程式

逆風のなか、儲かっている理由は東南アジア市場での好調ぶりにある。タイやインドネシアでの好調な販売が中国の販売減を補ったという。

それでも従来予想に対し販売利益は500億円、為替差損でも400億円、合計900億円のマイナスが出た。

マイナス900億円からプラス500億円。この1400億円を生みだしたのが「コスト削減」という毎度お馴染みの手法だ。内訳はクルマづくりに関わる原価低減が1000億円、諸経費削減が400億円とのことだが、「乾いたタオルをさらに絞るような」と評されるトヨタのコスト削減対策はいまに始まったことではない。

ずっと昔から延々と絞り続けてきた。カラーコピー禁止、コピー用紙は裏も使う、出張は最低限にとどめテレビ会議で済ませる、照明の間引き、エアコンの温度設定…そういう誰にでも思いつくことはとうの昔にやっている。

逆に言えば、これ以上どこを絞るのか? というギリギリの状態からさらに1400億円ものコスト削減を実現してしまうのがトヨタの凄さだ。

当然、各部品メーカーへの原価低減要求も厳しさを増しているし、海外部品の調達量も増えているわけで、下請けや孫請けといった国内中小企業の体力はもはや限界にきている。

また、新型オーリスにも垣間見られるが、かつてトヨタが得意としていた「立派に見える内装づくり」も、すっかり影を潜めてしまった。これらはトヨタが日本に軸足を置く世界のトップメーカーとして確固たる地位を保っていくためには決して疎かにできない部分だ。

しかしその一方で、山積する問題のなか歯を食いしばるようにして利益を絞り出す底力、迫力にも敬意を払わずにはいられない。重要なのは両者のバランス。この複雑な方程式を解くヒントは「少々高くても欲しくなる魅力的なクルマづくり」にこそ潜んでいるのではないだろうか。

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