デジタルライテク元年 Vol.3(最終回)日本4気筒編 YAMAHA YZF-R1&R1M

Vol.3(最終回)日本4気筒編 YAMAHA YZF-R1&R1M

アヘッド デジタルライテク元年

スーパーバイク世界選手権(SBK)などに直結する1000ccクラスのスポーツバイク最高峰カテゴリ、いわゆるスーパースポーツと呼ばれるマシンの電子制御化が顕著になったのはここ数年のこと。

制御自体が実戦レベルにまで成熟したのは更に最近のことなのだが、欧州勢が意欲的に新技術を取り入れてきた一方で、日本勢は電子制御化に対して消極的だった。

その結果はレースシーンにも現れており、電子制御の台頭とともにSBKの勢力図は欧州メーカー一色に染められていた。そんな中、ようやく日本勢の本気電脳マシンが反撃の狼煙を上げたというわけで、新型R1の注目度はバイク界でもとりわけ高い。

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そんな期待の新星のテストが行われたのは、オーストラリアにあるイースタンクリークレースウェイ。残暑厳しいパドックにはスタンダードと上位グレードのMが用意され、スリックタイヤを装着した試乗車も設定されていた。それほど新型はクローズドコースに特化しているのだろう、フロントカウルもゼッケンの貼付けを前提としたような先鋭的なデザインだ。

シートポジションも高く、街中で乗り回すには幾分辛い前傾姿勢を強いられる。マグネシウムホイールやチタンコンロットなどの高価なパーツをふんだんに盛り込んだパッケージからも、ストックレースでの戦闘力を狙っていることが伺える。

だが、コースに入ってからの新型R1に対する印象は180度転換した。実に扱い易いのである。アクセルレスポンスの良いエンジンも、最高出力に迫る1万回転付近ですら微妙なコントロールを受け入れてくれる。無論、最高出力200psものパワーを発揮するマシンが素のままでこのようなフィーリングとなるはずもなく、常に介在する電子制御があってこそ。

しかし諸制御の介入には粗さが一切なく、ごく自然な操作性を生み出しているのだ。それこそ、走り出しから公道でも十分楽しめると思える位に乗り易く、初めて乗るにも関わらず数周もすれば全開アタックが出来るほどすぐ馴染む。この扱い易さは、マシンポテンシャルの引き出し易さ、ひいては速さに繋がる。

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電子制御の管理下に置かれたハンドリングは、ブレーキング時にリアが流れてもそのままコーナーへ飛び込んでいけるほど安定感が高い。コーナー立ち上がりでは、リアタイヤのスライドもウイリーも抑え込みながら、一本の線を引くかの如く最速ラインをトレースさせてくれる。

プッシュすればするほどマシンは応えてくれ、ライダーの意思に反するような挙動も出さない。電子制御の進化については、ついこの間S1000RRのテストで驚かされたばかりなのだが、R1はそれすらも凌駕していた。

ドライバビリティの高さが速さを生み出す構図はGT-Rなどにも通じる所があるが、これはひとえに、制御プログラムの緻密さが成せる技である。様々なパラメータを徹底的に分析し、いかなる状況にも対応し得るように徹底的に造り込まない限り、実現は不可能だ。そして度を超えた拘りっぷりこそ、オタク国家日本の専売特許である。

優れたものを取り込み、模倣を超えて昇華させるモノ造りこそ、日本が得意とするやり方だ。電子制御の土壌が十分に開拓された今、ようやくメイド・イン・ジャパンのオーバークオリティを発揮できる機会が巡ってきたというわけだ。

制御プログラムの完成度がライテクを支配するこれからの時代、もしかしたらこれからのマシン開発は、電子制御プログラムをベースに発展していくのかも知れない。

●YAMAHA YZF-R1&R1M
参考小売価格:YZF-R1:2,376,000円(税込) YZF-R1M:3,186,000円(税込)
総排気量:998cc 最高出力:147.1kW(200ps)/ 13,500rpm 
最大トルク:112.4Nm(11.5kgm)/ 11,500rpm 
※2015年5月下旬頃発売予定 ※写真・諸元値は海外仕様
問い合わせ先:プレストコーポレーション www.presto-corp.jp/index.php

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text:丸山 浩/Hiroshi Maruyama
1985年に二輪でデビュー。国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8時間耐久レースなどに参戦。4輪においても、スーパー耐久シリーズに自らのチームを率いて出場するなど、二輪・四輪の両方で活躍してきた。約4年前にガンを患うも乗り越え、現在も精力的に活動している。

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