レクサスAMAZINGの象徴

アヘッド BEYOND

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夜の大都会。光をまとった〝ライトマン〟が、ビルの間を軽々と飛び越え、壁もガラスもすり抜けながら駆けていく。「えっ? これ何のCM?」と思った人も多いだろう。これはレクサスのブランドCM「Amazing in Motion」シリーズの第3弾で、「STROBE」と題されている。

text:山下敦史 [aheadアーカイブス vol.149 2015年4月号]
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レクサスAMAZINGの象徴

レクサスAMAZINGの象徴

▶ロンドン発のグローバル情報誌を手掛けるWINKREATIVE社とレクサスのコラボレーションで誕生した雑誌『BEYOND BY LEXUS』。走りと環境、デザインをテーマとしたライフスタイル提案型マガジンで、世界で約60万部発行されている。ここで紹介したのはその日本語版。レクサスオーナーに配布されるほか、書店でも購入できる。¥1,000(税別)(ハースト婦人画報社)


宣伝という本義から言えば、何のCM? と思われてしまうことは邪道なのかも知れない。まあ実際は高度な広告理論なんてものがあるのだろうが、それはさておき、いったいこれは何だ? と思わせる映像体験を与えてくれることは確かだ。

以前のシリーズ、クワッドローターの群れが妖精のようにコンビニや博物館など真夜中の都市を飛び回る「SWARM」、巨大な人形が何かを求めて夜の街を彷徨する「STEPS」も、最後になって「ああレクサスのCMなんだ」と分かる程度なのだが、いずれもハッとするような驚きを味わわせてくれる。

でも、本当に驚いたのは別の部分だ。

レクサスと言えば今や世界屈指の高級車ブランド。そのオーナーは、好きな言い方じゃないが、勝ち組……人生の勝利者といえなくはないだろう。だがそんなブランドがスローガンに選んだのは、豊かさや上質、プライドといった言葉——裏を返せば他者の上に立つ——ではなく、「驚き」〝Amazing〟だった。続く〝in Motion〟は、進行中・運転中という意味があり、クルマメーカーらしいダブルミーニングなのだろう。

同じくレクサスのブランドスローガンを形にした、「BEYOND」というライフスタイルマガジンがある。主にレクサスオーナーに向けたプレミアム誌だが、無料で読めるWEB版も用意されている。

そこにはクルマとしてのレクサス自体のストーリーも当然載ってはいるのだが、メインの記事は〝デザインとクラフトマンシップ〟を大きな軸として、気鋭のアーティストや、旅、建築、さまざまなプロフェッショナルたちの仕事など、直接クルマとは関係ないかも知れない、しかし好奇心を刺激される〝Amazing〟にあふれたストーリーだ。

そこでは、「BEYOND」という誌名の通り、時代の先を行く、あるいは想像の先を行くデザインやライフスタイルが提示される。

これらを含む多くのブランド展開の中に、レクサスが見据える地平が浮かび上がる。本当の豊かさとは、勝利という相対的なものではなく、自らの心が決める絶対的な価値観なのだと。

〝Amazing in Motion〟は「いくつもの、想像を超える感動を」と訳されているが、直訳すれば今まさに起きている、心を駆けている驚き、だ。これは言わば、クルマに、あるいはブランドに哲学が必要なのだとしたら、レクサスが目指す豊かさとは「心に驚きを持ち続けること」という宣言なのだ。

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