売る側の責任の果たし方

売る側の責任の果たし方

アヘッド ルノースポール

10月21日に袖ヶ浦フォレストレースウエイで25台限定での開催となったが、Web上で参加者を募集したところ約3分で枠が埋まってしまったという。わざわざフランスからルノースポールのトップガンやインストラクターを招く贅沢なスクールだけあってユーザーからの注目度も高かったようだ。

座学では「ステアリングとアクセルペダルがプーリーで繋がっているようにイメージしてください」というユニークな理論が教えられていた。これはコーナリングでステアリングを切り込んでいるときにアクセルを踏みこんでも、速くも安全でもないというセオリーだが、表現の仕方が独特で分かりやすい。実技のほうは走って走ってひたすら走る。

日本のスクールではフルブレーキの練習など細かく分けてやることも多いが、そんなまどろっこしいことはしないのだ。そこが少し不思議だったので質問してみると「短時間でスキルアップを図るには、フリー走行に勝るものはない。現に最後の走行ではみんな見違えるように速くなっていたのが分かるだろう」とのことだった。

参加者はそれは満足して帰路に着いたのだが、それにしても驚くのは、このイベントがわずか1万円で参加可能であり、欧州では年間20回も開催しているということだ。自動車メーカーからすれば、これから自社製品を買いそうなユーザー予備軍ではなく、すでにユーザーとなっている人向けのサービスで、プロモーション的な旨味はほとんどないのだ。

なぜそこまでするのかと言えば、安全な場所でスキルアップを図ることでより深くルノースポールの良さを知ってもらいたいということに尽きる。

アヘッド ルノースポール

日本ではスポーツカー離れが深刻になって久しいが、それは売る側にこういった特別な責任の果たし方がなかったからかもしれない。欧州ではルノースポール以外でも、この手のユーザーサービスは盛んであり、だからこそスポーツカーの人気も衰えないのだ。

ただし、久々の和製スポーツカーとして注目されているトヨタ86/スバルBRZは、売りっぱなしではなく様々な周辺サービスが企画されているようなので期待が持てる。これが浸透していけば、本物のスポーツカー文化が育まれていくことだろう。

また、最近ではSNSなどの進化によって、ユーザーの発信力がムーブメントを引き起こす原動力になることが多い。ユーザーザービスは、じつは最高のプロモーションになっていく可能性だってあるのだ。

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text:石井昌道/Masamichi Ishii
自動車専門誌編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦経験も豊富。エコドライブの研究にも熱心で、エコドライブを広く普及させるための活動にも力を注いでいる。

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