第33回日本カー・オブ・ザ・イヤー

アヘッド マツダ、CX-5

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日本車なのに日本をメインターゲットとせず、日本人が乗っても魅力を感じないクルマがままあるこの時代。しかし、2012年のカー・オブ・ザ・イヤーは、しっかりと日本を見つめたクルマが復活してきた感がある。

text:まるも亜希子 [aheadアーカイブス vol.122 2013年1月号]
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第33回日本カー・オブ・ザ・イヤー

第33回日本カー・オブ・ザ・イヤー

日本カー・オブ・ザ・イヤー2012-2013に輝いたマツダ、CX-5
日本のスポーツカー文化の衰退を危惧し、素の操る楽しさを提唱したトヨタ・86/スバル・BRZ。日本の国民車として、軽自動車の王道を磨いたスズキ・ワゴンR。

乗用車と福祉車両の垣根をなくし、高齢化社会に挑んだホンダ・N BOXシリーズ。ファミリーユースもカバーする、ダウンサイジング需要に応えたニッサン・ノート。

10ベストカーを見れば、今の日本が必要とするクルマが分かるようだ。

こうした中、2012-2013日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞に輝いたのは、ガソリンとクリーンディーゼルを揃えたクロスオーバーSUV、マツダ・CXー5だった。

これは、ハイブリッドがエコカーの代名詞となり、ライフスタイルを問わずそこへ飛びつく日本人に、高らかに警笛を鳴らした1台だと思う。エコと走りと快適性の最高バランスを突き詰め、「本当のエコとは何か、クルマの楽しさとは何か」を見せてくれた。今年の最高傑作だったと私は信じている。

ただし、相変わらず輸入車はそれ以上に高いレベルで、魅力的なクルマを送り込んできた。とくに、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したBMW・3シリーズは、クルマそのものが良い上に、ガソリン、ハイブリッド、ディーゼルを日本に導入する気合いを見せている。

p19で岡崎五朗さんも同じような感想を述べられているが、表彰式で登壇したマツダ・藤原氏のスピーチが心を打った。

「VW・up!は、日本ももっと小型車を頑張って作れということ。レンジローバー・イヴォークには歴史と文化の奥深さに感服し、刺激を受けた。

BMW・3シリーズのディーゼル導入で、これからが本当の勝負だと身が引き締まった」といった主旨で、最後に86/BRZへの感謝を述べ、もう一度マツダらしいスポーツカーで闘いを挑むので待っていて欲しいと締めくくった。

奢ることなく、クルマづくりを指揮する者としての視点に徹した、なんと素晴らしいスピーチだろう。こういう人たちが命がけでつくるクルマに、もっともっと光が当たるような日本でありたい。そして、そうしたクルマを見逃さないように、真剣勝負で取材を続けなければならない。改めて痛感したCOTYだった。
インポート・カー・オブ・ザ・イヤー2012-2013のBMW3シリーズ(セダン/ツーリング)
実行委員会特別賞のトヨタ・86/スバル・BRZ
シトロエン DS5
ホンダ N BOX/N BOX+
アルファ ロメオ ジュリエッタ
スズキ ワゴンR/ワゴンRスティングレー
ニッサン ノート
ランドローバー レンジローバー イヴォーク
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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。
ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
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