シトロエンがもたらしたもの

シトロエンがもたらしたもの

アヘッド シトロエン

正直、この時点でもうかなりバイアスがかかってしまっているわけだが、アヴァンギャルドを売りにするこのフランス生まれのブランドに注目しているのは僕だけではない。2012年11月までの販売台数でシトロエンは対前年比27%アップという躍進を遂げたのである。

なぜいまシトロエンが受けているのか? 比較的オーソドックスなCシリーズに加え、個性の強いDSシリーズを展開するなど、積極的なニューモデル攻勢を仕掛けてきているのも一つの理由だろう。

しかしいくら車種を増やしても、それぞれに魅力がなければ意味はない。その点、シトロエンは、ひとつの明快な方針に則ったクルマ作りを実行し、それが多くの人から支持されているのだ。

アヘッド シトロエン

最近のシトロエンを見ていると、つくづくデザインの時代がやってきたんだなと思う。ボディのプレスラインやインテリアのスイッチにいたる細かい部分にまで、デザイナーの美意識が濃密に注入されている。

それも、単に目新しさを追った独りよがりの美意識ではない。フォーマルすぎず、さりとてカジュアルすぎず…そんな絶妙の落としどころに卓越したセンスを感じるのだ。

長引く景気低迷を背景に「燃費と価格と室内の広さ」のみでクルマ選びをする人が増えて久しい。けれど、そんな無味乾燥なクルマ選びに飽き飽きしている人が増えているのも事実だ。

そんな人たちが求めているのは、驚くような高性能でも、きらびやかな豪華さでもなく、週末に着るきれいめカジュアル・ファッションに似合うクルマ。

クルマそのものが目的ではなく、自分を表現する手段としてクルマを選ぶ。そんな人にこそシトロエンはぴたりとはまる。

アヘッド シトロエン

もちろん、だからといってハードウェアが弱いわけではない。DS3とDS4は初期モデルとは別物と言っていいほど熟成が進み、乗り心地もハンドリングも上々の仕上がり。掛け値なしに「気持ちがいい」と感じさせてくれる。

出たばかりのDS5に関しては乗り心地にもう少しの熟成が必要だが、改善の手を緩めないシトロエンのことだから、1〜2年後には見違えるほどの仕上がりになっているはずだ。

決して高価ではないけれど、乗って気持ちよく、なおかつ卓越したセンスと他のどんなクルマにもない強い個性が右脳を刺激する。これがシトロエン好調の理由だ。

近頃欲しいクルマがなくて…そんなふうに思っているならシトロエンに注目してみるといい。きっとそこにはドキドキする何かがあるはずだから。

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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