THE BEST OF BMW 〜BMW R1200GS

アヘッド BMW R1200GS

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もし1台しかバイクを持てないとしたら何を選びますか。 という問いに対して、多くの人がBMWの「R1200GS」の名を上げる。それだけ完成度が高いということなのだろう。しかしプロ、アマを含めて、あまりに皆がそう言うので、ヒネくれ者の僕は 〝99人に良くても、自分に合うとは限らないぞ〟と、「R1200GS」と正面から向き合ってこなかった。

text:横田和彦 photo : 長谷川徹  [aheadアーカイブス vol.125 2013年4月号]
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THE BEST OF BMW 〜BMW R1200GS

THE BEST OF BMW 〜BMW R1200GS

その誰もが認める名車がフルモデルチェンジした。伝統のボクサーエンジンも継承されたのはレイアウトのみ。フレームや足回りまで完全新設計。

「同じなのはウインカーだけ」という説明からも、その変わり様が伺える。しかしそこまで変えてしまっていいのかという疑問も浮かぶ。フルモデルチェンジしたことで性格が変わってしまい、名前だけが受け継がれた結果、ユーザーが離れてしまった例もある。名車ほどモデルチェンジは難しい。懐疑心を抱きつつ技術説明会に臨んだ。
冷却方式が変わったエンジンは、より小型で軽量化され環境性能が高まった。評価の高い電子デバイスも進化している。それでいながらシルエットやポジションはそのまま。すべての部分が史上最高のアドベンチャーバイクを構成しているというのだ。

技術説明の内容はどれも納得できるもの。理論上、ニューGSは前作を凌ぐモデルだということは理解できた。
 
しかし、いくらスペックが良くなっても乗った時のフィーリングが一番大切なことはライダーなら誰もが知っている。まだ褒めることはできないぞ、と思いつつ実車の目の前へ。相変わらず圧倒されるボリューム感だ。
実は、「R1200GS」を遠ざけていた理由のひとつに身長170㎝に届かない自分の体格も影響している。意を決してまたがる。ここで僕はマジックにかかった。「R1200GS」が小さくなったのだ。もちろん本当に小さくなった訳じゃない。そう感じただけなのだが、ギャップ感が半端じゃない。ミドルクラスというと言い過ぎだが、戦車のように見える巨体とは思えないのだ。
 
エンジンは限りなくジェントルにアイドリングしている。しかしクラッチをつなぐと重量級の車体をグンッ、と力強く前に押し出す。このパワー感も見た目からは考えられない。そのまま目の前の交差点を小回りすると、曲がりくねった田舎道に出る。

すでに自分の手足の延長になったこのGSは、左右に軽々と車体を切り返して前に進む。 〝ズルいなぁ〟と心の中で呟く。まず乗りこなせないだろうと思われた巨体が意のままに動くのだ。入る気にならなかったダートでさえ、コイツとなら走破できるという自信が湧いてくる。BMWお得意の高速道路での性能は言うまでもない。まったく破綻のない平和な世界なのである。試乗を終えたころにはGSマジックの虜になっていた。
 
今僕のココロは動揺している。「もし1台しかバイクを持てないとしたら何を選ぶのか」の問いに対して「 R1200GS」ではないモノが見つからないからだ。
2010年モデルでDOHCヘッドを得たボクサーエンジンは、新たに水冷と空冷を組み合わせる冷却方式となった。大排気量ツインエンジンゆえにシフトダウン時に強いエンジンブレーキがかかる対策としては、クラッチにアンチホッピング機構を加えて扱いやすくしている。

車両本体価格:¥2,199,000 
排気量:1,169cc 
最高出力:92kW(125ps)/7,750rpm  
最大トルク:125Nm/6,500rpm 
BMWカスタマー・インタラクション・センター0120(269)437
www.bmw-motorrad.jp

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text:横田和彦/Kazuhiko Yokota
1968年生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターオーバーまで数多くのバイクやサイドカーを乗り継ぐ。現在はさまざまな2輪媒体で執筆するフリーライターとして活動中。大のスポーツライディング好きで、KTM390CUPなどの草レース参戦も楽しんでいる。
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