オンナにとってクルマとは Vol.30 美しすぎるハッチバック

オンナにとってクルマとは

Vol.30 美しすぎるハッチバック

なんたってまず、ボディ全体のシルエットがいい。低いスタンスで、ルーフラインがなめらかな弧を描き、リアビューは引き締まったウエストのよう。

サイドから見ると、ホイールベースが長くて手足がスラリと伸びているかのようだし、ちょうどその真ん中あたりにドライバーの着座位置があるから、優雅で贅沢な空間に身を置いていることが外からもわかる。そして大きなドアから女性が降りてくると、視覚効果でスリムに見えるのもクーペの美点である。

ところがところが。気がつけば、クーペと見まがうような美しいハッチバックがどんどん登場しているではないか。例えばアルファロメオ・ジュリエッタ。リヤドアのヒンジをうまく隠すことで、ドアが2枚しかないように思わせるのはアルファ156などにも使われた手法で、街ですれ違う一瞬のジュリエッタはもうクーぺにしか見えない。

そして、今年に入って相次いで日本デビューした、メルセデス・ベンツ・Aクラスとボルボ・V40も美しいハッチバックだ。とくにAクラスは、先代がいかにも優れた居住性と機能性を表現したデザインだっただけに、大変身。その理由をプロダクトマネージャーに聞いてみたところ、これからのクルマにいちばん必要なものを表現したのだと言った。

それは広さでも馬力でもなく、「エモーション」だった。ひと目見た瞬間に、欲しい、乗りたいと思わせるデザイン。Aクラスはメルセデスのエントリーモデルで、若い世代の購買意欲や他ブランドからの乗り換えを喚起する役目だけに、まずは人々の心を動かすことが使命となったらしい。

これは願ってもない展開だと思った。今までは、美しいクーペのためなら、少しくらいの利便性は犠牲になっても目をつぶってきた。狭い駐車場で乗り降りしにくくても、荷物をいちいちラゲッジから出し入れしてても、美しさを優先すべきと思っていた。でも、やっぱり不便なものは不便。使いやすさならハッチバックの勝ちだ。

まるで、ひと目惚れで恋に落ちたイケメンが、結婚したら実は理想的なマイホームパパだった、みたいなイイ話。美しすぎるハッチバックは、きっと女性を幸せにすると思う。

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text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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