125と共通車体の390 〜KTM 390DUKE〜

アヘッド KTM 390DUKE

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KTMは、なんとユーザーの心を昂らせるのが巧いメーカーなのだろう。今回発売された「390DUKE(デューク)」のフレームや外装パーツは、すでに発売されている125/200DUKEと共通部品である。しかしKTMオレンジに塗られたフレームやホイール、専用にカラーリングされたタンクカバーのせいか、存在感が高まっている。

text:横田和彦 photo:山岡和正 [aheadアーカイブス vol.128 2013年7月号]
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125と共通車体の390 〜KTM 390DUKE〜

125と共通車体の390 〜KTM 390DUKE〜

スモール・デュークシリーズの最上級となるこのモデルは、小型・軽量・ハイパワーがセールスポイントだ。しかし、ジャジャ馬的な性格ではない。むしろシリーズ中で、トータルバランスが一番良く扱いやすいモデルなのだ。

トルクのあるエンジンは、発進はもちろん、登りの峠道もグイグイ進む。その上、高回転までよどみなく綺麗に回るのでストレスを感じさせることはない。さらに125cc並みのコンパクトな車体は、あらゆる場面で精神的に余裕を与えてくれる。それにハイウェイまで走れるのだから使い勝手の良さは抜群といえる。

といっても大型免許所持者は「所詮390(正確には375cc)でしょう」と軽く見るかも知れない。けれど実は、この排気量にこそ真の魅力がある。「390DUKE」は、スモール・デュークの基本となるフレームや車体サイズにベストなエンジンパフォーマンスを探ることから開発がスタートしている。

つまり免許制度や車検(海外では保険)による縛りではなく、純粋に走りの愉しさを追求した結果、導き出された排気量なのだ。扱いやすい車体サイズにバランスしたエンジン。思うように走れないわけがない。

試乗した日は雨だった。路面は完全にウェットだ。普段なら憂鬱なシーンなのだが走り始めて驚いた。アクセルを開けたときやブレーキング時に、予想以上のインフォメーションが伝わってくるのだ。

決して良いといえないコンディションの中でバイクと対話できることに気を良くし、峠道から市街地までかなりの距離を走り回ってしまった。雨の中でこれだけ満足感が得られるバイクはそうそう無い。

「U (アンダー)-400」という、中型バイクの専門誌で国内外の数多くの中型マシンに試乗してきたが、その中でも走りの実力と気持ちの高揚感はトップクラスだ。1時間弱の試乗でドップリとハマッてしまった。そして、その時に感じたのは『これを選ぶのは、バイクの本質を理解している人だろう』ということだった。

大型二輪免許を取得していると、アンダー400ccのバイクは選択肢に入らないかもしれない。特に大型バイクに乗り始めて間もない頃は、できるだけ大きな排気量やパワーのあるバイクに乗りたいという気持ちになるものだ。

しかしある程度の経験を積むと、その考えが変わってくる人もいる。普段使いで、大きさや重さ、パワーを持て余して苦労する大型バイクより、軽くて小さい排気量のバイクを自在に操る方が利口でスマートだという考え方だ。

排気量へのこだわりを払拭し、純粋に走りを愉しむベストなバイクを選んだ結果、よりバイクと親密な生活を送れるようになるはず。KTM「390DUKE」は、酸いも甘いも嚼み分けた「通」が選ぶバイクなのだ。

KTM 390DUKE
価格:¥549,000
排気量:375cc
最高出力:44ps(32kW)/9,500rpm
最大トルク:35Nm/7,250rpm
問い合わせ先:KTM JAPAN TEL:03(3527)8885
www.ktm-japan.co.jp

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text:横田和彦/Kazuhiko Yokota
1968年生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターオーバーまで数多くのバイクやサイドカーを乗り継ぐ。現在はさまざまな2輪媒体で執筆するフリーライターとして活動中。大のスポーツライディング好きで、KTM390CUPなどの草レース参戦も楽しんでいる。
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