岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.53 COTYの役割

VOL.53 COTYの役割

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

ここ数年、燃費とコストの追求のみに明け暮れ、クルマ本来の楽しさを忘れてしまっていた日本メーカーにとって、ゴルフの受賞はクルマ作りを見直すいいきっかけになるだろう。

ところが、賞の決定後、いろいろな意見が耳に入ってきた。「日本の賞なのに輸入車がとるなんておかしい」、「自動車評論家は輸入車かぶればかりだ」、「VWがきっと賞取りに大金をつぎ込んだのだろう」

冗談じゃない。僕は選考委員の一人として、今年登場したクルマのなかからもっとも優れたクルマに最高点を与えただけである。どこの国で生まれたクルマであろうが、そんなことは関係ない。

選考委員の務めは、自分が培ってきた経験をもとに、ハードウェアの優秀性やコンセプトの魅力にコストパフォーマンスを加味し、多くの方に自信をもっておすすめできるクルマを選ぶこと。日本の賞なのだから日本車を応援するべきという批判は、ユーザーではなくメーカーを見て採点しろという本末転倒な論理である。

たしかに、過去の一時期には過剰な接待攻勢もあったと聞く。が、5年ほど前から選考委員を務めていて感じているのは、COTYが拍子抜けするほどクリーンで淡々とした賞であるということだ。同社のクルマに改めてじっくり乗っていただきたい、新技術を解説したい、というお誘いは受けるものの、入念な試乗と技術解説は評価プロセスとして当然のこと。それ以外には、巷で囁かれている豪華な接待などないのが実情だ。

自動車メーカーのためではなく、ましてや自己利益のためでなく、よりよいクルマを広く知ってもらうこと。ひいてはそれが自動車産業を活性化させていく。COTYの存在意義はそこにある。はたして来年はどんなクルマがイヤーカーに輝くのだろうか。

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