岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.52 技術の足を引っ張るもの

VOL.52 技術の足を引っ張るもの

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僕もその映像を見たが、たしかにドライバーはステアリングから完全に手を離していた。それが法令違反ならトヨタの完全な勇み足である。と同時に、技術開発を進めていくためには公道試験が不可欠なのに、事なかれ主義のお役所が技術の発展を阻害しているモデルケースだなとも思った。

アメリカやドイツではすでに公道での自動運転試験が行われている。そんななかステアリングから手を離しただけでお役所が「激怒」するようでは、日本が自動運転技術で主導権を握るのは不可能だ。

トヨタの今回のデモンストレーションは国が認めていない法令違反行為だったのだろうか。法律では「ドライバーが運転席に座り、緊急時の対応を常にできるような状態での走行」であれば、公道での自動運転試験は認められている。

実はここがかなり微妙な部分で「緊急時の対応を常にできるような状態」が定義されていないため、解釈が人それぞれで異なる。ステアリングから手を離した時点でNGならトヨタは法令違反をしたことになるが、少なくとも公式見解として国交省も警察庁も法令違反とは見なしていない。

どうやら一部の頭の固い担当者が「激怒」し、それが上記報道につながったようだ。安倍首相率いる内閣府や、自動車産業の強化を狙う経済産業省の強い後押しを背景に、保守的な省庁が折れたという見方もできるだろう。

というわけで、今後も公道上での自動運転は続けられることになりそうだ。まずはひと安心だが、日本が本気でこの分野で世界をリードするつもりなら、各メーカーと国が一丸となって、規制緩和やインフラの整備などにより積極的に取り組んでいく必要がある。

2020年の東京オリンピックまでには、世界中の人をあっと驚かせるような技術を示したいものだ。

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