2017年の東京が舞台の 「マスター・オブ・トルク」

アヘッド マスター・オブ・トルク

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「バイク楽しい?」と聞かれれば「最高!」と答えてきたし、「危なくない?」と聞かれれば「ルールを守って乗れば特別危険とは思わない」と答えてきた。まるで業界の回し者のようだが、ひとりのバイクファンとして、少しでもイメージアップに貢献したかったのだ。たいして乗ってないんだけどさ。

text:山下敦史 [aheadアーカイブス vol.137 2014年4月号]
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2017年の東京が舞台の 「マスター・オブ・トルク」

2017年の東京が舞台の 「マスター・オブ・トルク」

しかし、だ。バイクは楽しい。それは嘘じゃないけど、実はバイクに憧れたきっかけの中に《楽しそう》はなかった。

「仮面ライダー」を見た幼稚園から免許を取った20代、そして40も半ばを過ぎてまだ憧れてる今に至るも、《格好いい》はあっても《楽しそう》は見当たらない。まあ入口は人それぞれだろうけど、バイクの場合、《楽しそうだから》乗るってのは王道なんだろうか?

そんなことを思ったのは、ヤマハのバイク、MT-09のプロモーションアニメ「マスター・オブ・トルク」を見たからだ。MTシリーズが初めて国内で正式発売されることを受け、《日本》という世界観で作られたものだそうだ。

舞台はオリンピックを控えて様変わりする2017年の東京。まだ第1話で物語の全貌はつかめないが、人工筋肉やパワードスーツといったキーワード、大企業がからんだ陰謀が配置され、古くは「AKIRA」、近年なら「攻殻機動隊」的な近未来サスペンスが予感させられる。猥雑でダークなメガシティの夜を疾走するMT-09がSF的世界観に違和感なく溶け込んでいるのが印象的だ。

だがバイク評やアニメ評を書きたいわけではなくて。日本を代表する大メーカーのヤマハが、今、この世界観を打ち出してきたことが驚きなのだ。

もう数十年も、バイク業界はバイク=反社会的というイメージを打ち消そうと躍起になってきた。バイクって爽やかで、スポーティで、自由で、癒やされる乗り物なんですよ、と。

それも一面ではあるけれど、でも本当にそうか? 絶対バイクに乗らなくちゃ、と思ったのは、なんだかもっと切実な理由じゃなかったのか? バイクならこのもやもやした、どうしようもない衝動を受け止めてくれるんじゃないか、そう思ったからじゃないのか?

その意味で、ヤマハが今、映像作品という形でバイクの本質的な危うさや孤独という領域に踏み込んできたことに、強い意志を感じる。分かってくれてるんだ、と安堵を感じる。バイクに乗るのに必要なのは、本当はスペックや情報より、物語なのだ。このプロジェクトからは、そんなメッセージが伝わってくるのだ。

『Master of Torque』スペシャルサイト

http://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/mt/

Episode1 Idle Roughness(アイドル ラフネス) 公開中
Episode2 Understeer(アンダーステア) 5月16日(金)公開
Episode3 Change Up(チェンジアップ) 6月13日(金)公開
Episode4 Maximum Torque(マキシマム トルク) 7月18日(金)公開

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