DUKE生誕20周年の解答 KTM 1290 SUPER DUKE R

アヘッド KTM 1290 SUPER DUKE R

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毎年春に「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」を貸し切って行われるKTMのメディア向け試乗会に今年も参加した。今回の目玉は、斬新なスタイルと新設計された75度V型2気筒1301㏄のエンジンが話題の「1290 SUPER R」(車名は1290となる)だ。

text:神尾 成 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.137 2014年4月号]
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DUKE生誕20周年の解答 KTM 1290 SUPER DUKE R

DUKE生誕20周年の解答 KTM 1290 SUPER DUKE R

昨年発表された過激なプロモーションビデオや、最高出力が180馬力というスペックから想像すると、この新しい〝スーパーデューク〟は、日常的に乗れる「990 SUPER DUKE R」の後継モデルというより、日常から懸け離れたハイパフォーマンスバイクとして開発されたと思っていた。

しかし試乗会場には、専用のツーリングバッグやカーナビ、グリップヒーターを装備したツーリング仕様が展示され、汎用性の高さを主張していたのだ。

実際に「1290 SUOER DUKE R」を試乗してみると、最近のKTMの例に漏れずフレンドリーさが際立っていた。KTMは、「READY TO RACE」というスローガンを掲げるメーカーだけに、以前まではエキスパート向けのモデルが多かったが、ここ数年ラインアップに加わる新型車は、ビギナーが扱いやすく、長距離でも快適な乗り味のモデルが増えてきている。

まず、2気筒の難しさが顔を出す低回転域でアクセルのオンオフを躊躇せずに行えるのには驚かされた。通常リッターオーバーの2気筒の場合、トルクに瞬発力があるから低速でのアクセル操作は神経質になるのだが、同じクラスの4気筒車並みに操作しやすい。

またKTMのV型2気筒は、エンジンのはさみ角が75度なので、90度に比べてクランク位置が前進するため、前輪の接地感を得やすいという利点がある。

さらに注目すべきは、車両重量が一般的な400㏄の車両と同等の189㎏しかないというところだ。この軽量さは、運動性能に貢献するのは当然として、リッターバイクに乗っているという緊張感を確実に緩和している。これらの事柄は、サーキットを舞台とするスポーツ走行だけに限らず、全てのシュチュエーションで真価を発揮するはずだ。
●KTM 1290 SUPER DUKE R
車両本体価格:¥1,850,000(税込)
排気量:1,301cc
エンジン:水冷4ストローク75°V型2気筒
最高出力:
132kW(180HP)/8,870rpm
最大トルク:144Nm/6,500rpm
www.ktm-japan.co.jp


そもそもKTMは、スーパーモタードで世界を席巻してきたメーカーだけに歴代の〝デューク〟は、モタード寄りの味付けだった。しかし「1290 SUPER DUKE R」は、スーパースポーツのフィーリングが明らかに濃くなっている。

これまでKTMは、誤解を恐れずに言うと、操作の自由度を優先したオフロードバイクの考え方をサーキットに持ち込んでいたように思う。だが今回、その独特の経験を生かし、新たなロードバイクのあり方を「1290 SUPER DUKE R」によって確立したと言えるだろう。

過激なスタイルやスペックとは、裏腹に「1290 SUPER DUKE R」は、日常の足にでも使えるほど汎用性が高いまま、ピュアなスポーツバイクとして進化している。

▶︎KTM初となる片持ち式スイングアームは軽量化とハンドリングの向上を狙って採用した。アクスルは50mmの大口径仕様。高剛性と追随性を確保するため、今までにない有機的な造形となっている。

▶︎ライトの上部にLEDを配列。さらに左右をボディと同色のパーツで挟み込み個性的なKTMらしい顔立ちを作りあげている。

▶︎前後とも「WP」製のフルアジャスタブルサスペンションを標準で装備する。フロントフォークのインナー径は48mm。リアサスのロッキングナットはポリアミド製でプリロード調整を素早く行える。

▶︎「SPORT」「STREET」「RAIN」の出力モードや、トラクションコントロールのON、OFF、
ABS介入の有無などの設定を行う「マルチファンクションコクピット」。出力特性の差は体感できる違い。

▶︎BOSCH製コンバインドABS+トラコンは3次元センサーで加速度、バンク角までセンシング。ホイールの肉抜きにも注目。

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text:神尾 成/Sei Kamio 
1964年生まれ。神戸市出身。新聞社のプレスライダー、大型バイク用品店の開発、アフターバイクパーツの企画開発、カスタムバイクのセットアップ等に携わり、2010年3月号から2017年1月号に渡りahead編集長を務めた。現在もプランナーとしてaheadに関わっている。
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