欧州生まれのアメリカン ~フォード・フィエスタ

アヘッド フォード・フィエスタ

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フォードのフィエスタが好調だ。2012年には車名別販売台数で世界6位を記録。しかも、激しいシェア争いが繰り広げられる、いわゆるBセグメントのカテゴリーで72万台超というトップセールスを達成し、現在に至っている。

text:伊丹孝裕 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.137 2014年4月号]
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欧州生まれのアメリカン ~フォード・フィエスタ

欧州生まれのアメリカン ~フォード・フィエスタ

●フォード フィエスタ 1.0 EcoBoost
車両本体価格:¥2,355,428
(税込、メタリックカラーは+¥61,715)
車両重量:1,160kg エンジン:直列3気筒1ℓターボ
排気量:997cc 最高出力:74kW(100ps)/6,000rpm
最大トルク:170N・m(17.3kg・m)/1,400-4,000rpm
JC08モード燃費:17.7km/ℓ


ただし、そんなワールドワイドな動きとは裏腹に、ここ日本での存在感は希薄だった。なぜならインポーターの販売戦略上、フィエスタは長らく日本へ導入されておらず、どちらかと言えばそれを手掛けた欧州フォードのモデルよりも、マッシブなエクスプローラーやマスタングをラインアップする北米フォード寄りの展開に軸足が置かれてきたからである。

つまり、日本のユーザーはその価値に触れる機会がなかったのだ。

そうした状況の中、近年のフォードは国や地域で独自に開発してきたモデル展開を「ONE FORD(ワン・フォード)」の名の元に統一しようとしてきた。

これは、主軸となるセグメントには世界共通のモデルを投入し、経営とブランドの強化が図れるグローバルプロダクツの必要性を謳ったもので、フィエスタはまさにその一環。そして既述の通り、見事な実績を世界で残してきたのである。

6代目となる現行フィエスタが発表されたのは、'08年のことだ。'12年に大胆なフェイスリフトを受け、ついに今年の2月に日本へ上陸。言わば満を持しての導入と言えるだろう。

現在、日本で展開されるグレードはフルスペックと言って差し支えない装備を誇る一機種のみ。オートエアコンを始めとするあらゆる快適装備はもちろん、衝突回避のための低速時自動ブレーキやトラクションコントロール等の安全装備、またエアロやアルミホイールといったカスタマイズパーツ……と、そこには229万円というプライスを納得させるだけの価値が盛り込まれている。

しかし、語るべきはベースポテンシャルの高さだ。パワートレインには低燃費と高い動力性能の両立が評価され、2年連続('12〜'13年)でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーに輝いた997㏄の直列3気筒ターボ「1.0エコブースト」とゲトラグ製の6速デュアルクラッチATを搭載。

それらはドライバーが必要とするパワーとトルクをレスポンス良く引き出し、いつでもワンランク上の力強い加速力をもたらしてくれる。その時の静粛性も抜群だ。

また、身のこなしにもクラスを感じさせないしなやかさがある。スムーズにロールするサスペンションとその時に伝わる豊富な接地感は、常に正確なステアリング操作を可能にし、ペースや路面状況にかかわらず高い路面追従性を発揮。そんな風に軽やかなフットワークの一方、ボディは重厚そのものといった印象で、心理的な安心感も高い。

ガラス面積が多く確保され、たっぷりと光が差し込む開放的な室内はどことなく大陸的ながら、走らせるとキビキビとタイトな動きを見せるフィエスタ。そこにあるのはアメリカンでもヨーロピアンでもなく、世界中のドライバーのための上質な移動空間に他ならない。

▶︎リヤに備わるスポーティな大型スポイラーは標準装備。リヤゲートを開けた時のカーゴルームは最大で960ℓの容量があり、同クラスの平均以上の数値が確保されている。
▶︎世界的に高い評価を得ているエンジンは直列3気筒DOHC直噴インタークーラー付ターボ。最高出力は100psをマークし、燃料消費率はJC08モードで17.7km/ℓを達成。

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text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。
レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。
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