ハスクバーナのアイデンティティー

ハスクバーナのアイデンティティー

アヘッド ハスクバーナ

▶︎ブルー、イエロー、ホワイトはハスクバーナの生まれ故郷であるスウェーデンのナショナルカラーだ。


国王率いる王立軍に武器を納入する会社として1689年に創業したハスクバーナは、1903年に初めてモーターサイクルを生み出した。1919年には自社製エンジンを開発し、すぐにヨーロッパ全土で高い評価を受ける製品となった。

第二次世界大戦の終結後、ハスクバーナは、開発の主軸をそれまでの4ストロークから、軽量な2ストロークエンジンに移す。圧倒的な運動性能を発揮したハスクバーナは、当時、世界的に注目されていた6日間耐久レースでタイトルを総なめ。

'60年代に入ると、モトクロス世界選手権でも数多くのタイトルを獲得した。アメリカの伝説的なライダー、マルコム・スミスや、映画大脱走でスティーブ・マックイーンのスタントシーンを演じたことで知られるバド・イーキンスらの愛車ともなり、北米市場でもビッグセールスを記録した。

'70年代に入ると、日本製のモーターサイクルの人気も高まってきて、その人気はこのあたりがピークとなる。オイルショックがそれに重なり、ヨーロッパ、北米でのモータースポーツ人気は冷え込んでいくのだが、ハスクバーナのブランドネームは、それまでの20年間に強固なものになったといっていい。

1987年、経営不振だったハスクバーナのモーターサイクル部門をイタリアのカジバ社が買収。さらに、2007年にはBMWがこのブランドを引き受けた。大資本の梃入れによって、停滞していた開発も再開、耐久種目であるエンデューロの分野では、強敵、KTMを破って2年連続の世界タイトルを獲得するなど、大躍進と見られていたところに、KTM傘下へ、というニュースだったのだ。

KTMとハスクバーナは、ライバル企業であると同時に、長年、6日間耐久レース、モトクロス世界選手権に挑戦を続けてきた盟友でもある。かつての引き受け先であるカジバ、またBMWによる買収後も、そうしたレーシングの現場を知り、モータースポーツの精神を知るエンスージアストたちが、このブランドを大切に守ってきた。その意味では、KTMは、実はこれ以上はない継承者であるとも言えるのではないか。

「KTMと同じじゃないか、つまらないよ」と、事情通がそう思うのは無理もない。スウェーデンのナショナルカラーをまといながらも、新しいハスキーは、まだKTMのコンポーネントを活用した兄弟車に近い仕様だ。

トップブランド、KTMの性能、信頼性、また部品供給などアフターサービスの面でもクォリティは高いが、独自色はまだ薄い。だが、もっともそれを気にしているのは、エンジニア達に違いない。かつて世界を席巻したブランドの継承者が、この先何を見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。

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▶︎ミラノショー(EICMA2014)で発表されたハスクバーナのスーパーモト(モタード)モデル。KTM同様に、オフロードレーシングの分野での知名度、人気が高いブランドだが、1990年頃から始まったスーパーモトのムーブメントの立役者でもある。Photo : Husqvarna Motorcycles

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