埋もれちゃいけない名車たち VOL.24 予想外、世界で人気のリゾートカーに「ミニ・モーク 」

VOL.24 予想外、世界で人気のリゾートカーに「ミニ・モーク」

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本格的な4WDじゃないにしても日常+α程度の冒険なら問題なくできる走破性を持ち、それなりに雰囲気のあるルックスをしたクルマ達は、確かにウイークエンド・アドヴェンチャラーには最適なアイテムかも。

そのルーツって何だったっけ? と歴史を手繰ると、行き当たるのがこれ。1964年に販売が開始された、ミニ・モークである。

そんな昔からクロスオーバーSUVのコンセプトがあったのか!? と思われるかも知れないけれど、いやいや、そのコンセプトがハッキリとカタチになってきたのは、ほんの数年前からのこと。ミニ・モークの場合は、結果的にルーツみたいな存在になっちゃったというのが正しい。

なぜならこのクルマ、実は、ランドローバーがほとんど占有してたイギリスの軍用車両市場に進出するために開発されたものだからだ。

結果的にはタイヤのサイズは小さいし最低地上高は低いしエンジンのチカラは足りないし……で、結果的には軍への納入にはしくじっちゃったカタチになったわけだが、メカニズムには特殊なところが何もないことが逆に幸いし、その特異な車体形状と頑丈な車体構造を活かして農業や軽工業などの分野で利用するための〝働くクルマ〟として販売されることになった。

このクルマを設計したのは、実は初代ミニの設計者として歴史に名を残しているサー・アレック・イシゴニス。当然のことながら、メカニカルコンポーネンツはミニのものを巧みに流用している。パッと見た感じではジープっぽいヘヴィデューティな4WDスタイルだけど、実はこれでいて立派な(?)FWD(FF)なのだ。

ところがミニ・モーク、そんな成り立ちを持っているくせに、意外なところでウケた。全身開けっぴろげなオープンカー中のオープンカーであり、なおかつこのファニーなルックス。アメリカやオーストラリア、カリブ海、セーシェルあたりのリゾート地でビーチカーとして重宝されたのである。

もちろん変わったクルマが好きなマニア達にも愛された。メカニカルレイアウトがほとんどミニのままなので、乗った感じは重心高の低いミニそのもの。幌をつけてないときには、全身で風を浴びられる公道を走るゴーカートみたいなもの。そういう意味でもとってもとっても楽しいクルマだったからだ。

今は世界的にレギュレーションが厳しくて、こういうクルマは簡単には作れない。所有している熱心なオーナーさん達には、大切に大切に乗り続けて欲しいものだと思う。

ミニ・モーク

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ミニ・モークは、かのイシゴニス技師が自らの作品である初代ミニをベースに、大真面目な軍用車として設計したクルマ。結果的には一般向けの乗用車として1964年に販売されたが、農業・工業・商業のための“働くクルマ”としては目論見どおりにはさほど成功せず、意外なことにファニーな姿のリゾートカーとして世界中で人気を得た。

そして英国内では1968年で生産中止となるものの、オーストラリアでは1966〜1981年、ポルトガルでも1980〜1993年にかけて生産が続けられ、累計で5万台以上のモークが世に送り出されたのだった。

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text : 嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。

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