忘れられないこの1台 vol.63 スバル・レガシィツーリングワゴン

vol.63 スバル・レガシィツーリングワゴン

ahead レガシー

▶︎水平対向4気筒エンジン、全輪駆動、ターボという、スバルがレオーネで培ってきたスポーツ性の高いメカニズムを搭載して1989年に登場。今やスバルの伝統ともいえるそれらの性能をさらに洗練させるとともに、スタイリッシュなエクステリアを実現。日本にステーションワゴンブームを巻き起こし、商用イメージの強かったワゴンの市場を一新した。


「友達とキャンプに行くからたくさん乗れて荷物をいっぱい積めるクルマがいい」という私の希望に、「うちは4人家族だ」という筆頭出資者である母親の意見が加わった結果が、レガシィ・ツーリングワゴンだったというワケだ。

当時すでに2代目が人気の頃で、カネのない私が選んだのはBF5、いわゆる初代後期型。ほんとはMTがほしかったのだけど、いかんせんタマ数が少なく、やっと見つかっても程度がよろしくないモノばかりだし、「運転するのはアンタだけじゃない」という鶴の一声でATに決定。150万円を握りしめて「このままアメリカに高跳びするか」と迷いつつも、新小岩の中古車屋に行ったことがなつかしい。

何はともあれ買ってしまえばこっちのもの。夏はキャンプに出かけて岩がゴロゴロする河原でスタックしてみたり、冬はスキーに出かけて深夜の駐車場でドリフトしまくってたらあわや電灯の鉄柱に激突しそうになったり、春や秋は林道に出かけて凹凸の激しい路面にバンパーをガツンガツンとぶつけまくったりした。

ahead レガシー

だいぶ私になじんできたレガシィは、あっちがヘコんだりこっちがガタガタだったりと、ちょっぴりポンコツの匂いを漂わせはじめたけれども、その甲斐あってか家族の用事で駆り出される機会がぐっと減り、ますます私はスキーにキャンプに林道に走りまくった。

そのあたりでようやく「こういう使い方するクルマじゃないんだよなあ」と気づいたけど、時すでに遅し。

とはいえ、高速道路をズバーンと往くときも舗装林道をクイクイと曲がるときも、ビタッと路面に貼りついたように走れてしまう乗り味は大好きだった。少々重ったるいのもたしかだけど、バランスがいいからきちんと安定性につながってる感じ。

おかげで日本の道路の制限速度の低さをうらむことも多かったし、アメ車並みの燃費も私のサイフをずいぶんと軽くしてくれた。そのせいでハイオクを入れられずレギュラーばかり入れてたのも、今となってみればステキな思い出だ!

そんなふうに、初代のレガシィはワークブーツで毎日ガンガン歩くように使うのが似合う無骨な感じだったけど、現行のレガシィはすっかりとカッコよくなっちゃって、嬉しいような寂しいような……ちょっとフクザツな気分。それでもやっぱり、次にクルマを買うときにはレガシィを候補に入れてしまうだろうなあ。

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text : 山下 剛/Takeshi Yamashita
1970年生まれ。東京都出身。新聞社写真部アルバイト、編集プロダクションを経てネコ・パブリッシングに入社。BMW BIKES、クラブマン編集部などで経験を積む。2011年マン島TT取材のために会社を辞め、現在はフリーランスライター&カメラマン。

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