岡崎五朗のクルマでいきたい VOL.61 日産が今、すべきこと

VOL.61 日産が今、すべきこと

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

ゴーン社長は類い希なる能力をもった天才経営者だ。とくに傾いた企業を立て直す能力はずば抜けている。けれど軌道に乗った企業の幹を太くする、あるいは花を咲かせることに関してはあまり得意ではない。

少なくとも僕にはそう思える。事実、最近の日産車は市場調査や製造コストばかりに目が行き、心に訴えかけるような要素が薄れてしまった。その商品が株主にとってメリットがあるかどうか(儲かるかどうか)を重視するあまり、夢や希望やチャレンジ精神が二の次になってしまっているからだ。

もちろん、利益の追求は企業として当然のことだ。けれど、短期的利益の追求は必ずしも長期的な利益とリンクしない。たとえ明日の利益にはつながらなくても、従業員のモチベーションを高めたり、ユーザーに日産を好きになってもらえなければ、いずれ先細りになっていく。

そのことにいち早く気付いたマツダはズームズームという合い言葉を軸にヒット作を連発。トヨタも「もっといいクルマを」という豊田章男社長の方針のもと、ハチロクの投入や既存車種の改良を進めている。

それに対し日産はマイナーチェンジでクルマをよくするどころか逆にコスト削減を重視する始末。デザイン面でも無難な路線に傾きすぎだ。新型スカイラインが証明しているように、日産の技術力は依然として一流だが、惜しいことにそれが魅力的な商品につながっていない。

日産を率いるゴーン社長にいま求められているのは、利益目標や販売台数といった無味乾燥な数字の羅列ではなく、彼の想いをわかりやすい言葉で内外にアピールすること。それは、とりもなおさず日産がユーザーにどんな歓びを提供するのかを問い直す作業に他ならない。

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