オンナにとってクルマとは Vol.73 ふさわしい相手

Vol.73 ふさわしい相手

そんな矢先に、やってきたのは現在日本で買えるPHV10台を、1日で乗り比べするお仕事だった。どれもガソリンエンジン車とはひと味ちがう、上品なパワフルさ、バッテリー状況に応じて走行モードを変えて走れる賢さなど、いろいろな面白さがあって魅力的。

でも最後に価格をチェックすると、ウーンと心はしぼんでいった。まだまだ、気安く「あなたが欲しい」とは言えない高嶺の花だ。

とくに女性にとって、現段階でPHVの魅力とはなんだろう。モデルにもよるけれど、最大で60㎞ほどの距離を走れるEVモードを活用することで、近所へのチョイ乗りならガソリンを使わずに済むというのはひとつの利点。

セルフガソリンスタンドでの給油作業や、あの独特のニオイ、しつこいセールスなどが苦手という女性は多いし、近所にガソリンスタンドがない地域も増えているから、これはありがたい。

でもその代わりに課されるのが、充電ケーブルを充電器につなぐという作業だ。猛烈に暑い日も極寒の日も関係なく、出かけて帰ってくればその作業は必要になる。

「たくさん買い物して帰ってきて、それを家に運び込むだけでもひと苦労なのに、その上さらに重たい充電ケーブルを引っ張って充電器につなぐなんて面倒なこと、私にはたぶん無理」という、ある女性ジャーナリストのひと言に「確かになぁ」と同調する部分もある。小さな子どもがいたりすれば、なおさらだろう。

とはいえ、10台のPHVに試乗していちばん心に残ったのは、どれも静かで乗り心地が素晴らしく上質なこと。比較的コンパクトで運転しやすいPHVでもそれは変わらず、走行モードなんて気にせずただ乗っているだけでも、気持ちが穏やかになり、せかせかした日常を忘れてしまうほどだった。

だから現段階では、PHVの魅力はそうしたメンタルな部分が大きいかもしれない。家事に育児に、いつも追われている女性ほど、そこに癒しを感じられそうだし、子どもを持つ身なら、限りある資源を少しでも子どもたちに残したいという気持ちも満たされる。

でもやっぱり、屋根付きの車庫があり、充電設備を整えることができ、維持費での回収は難しそうな割高な価格にも納得し、充電の手間をいとわない。そんな人がPHVオーナーにはふさわしいと悟り、私の恋ははかなく散ったのだった。

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text : まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。

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