隼(はやぶさ)乗りの聖地へ〜隼駅まつり

隼(はやぶさ)乗りの聖地へ〜隼駅まつり

アヘッド 隼駅まつり

記念切手といっても、個人でも作れるフレーム切手なので、それ自体は驚くほどではないが、バイク単体車種の切手が、一部とはいえ169局もの郵便局で正式に販売されたのだから相当に珍しい。

だが本当に珍しいのは、このイベントが元々は町おこしなどとは無縁の、いわば思いつきで始まったってことなのだ。

先に「いつからか…」なんて書いたけど、実際には分かっていて、2008年、個性派のオートバイ雑誌『ミスターバイク』が、誌面で「8月8日、隼乗りは隼駅に集まれ!」と呼びかけたことが始まりだった。

だが雑誌の発売が8月6日、集合はわずか2日後の8日で場所は鳥取県にある無人駅。まあイベントとかいうレベルの話ではない。とはいえ行き当たりばったりのこの呼びかけで、計7台の隼乗りが集結したというのだから、すがすがしいまでのライダーっぶりだ。嬉しくなってしまう。

これを機に、翌年からはスズキも協賛を快諾、正式に『隼駅まつり』がスタートする。今では〝ブサ乗り〟だけでなく、全国からライダーが集まる恒例イベントに成長、昨年は700台ものバイクが集まる盛況ぶりだったそうだ。

田園風景に木造の駅舎が佇む隼駅。いい意味でひなびた無人のこの駅は、本来バイクの隼とは縁もゆかりもない。ただ名前が同じだけだ。しかも集まるのは、ほとんど自走のライダーで、鉄道利用者が増えるわけでもない。でもイベントは回を重ねるごとに人を集め、地元の人々は温かく迎えてくれる。

小さな町に大型バイクが何百台と集まれば、恐いだのうるさいだのと迷惑がられてもしょうがないのに、よほどライダーのマナーもよかったのだろう、切手が作られるほど大切にされる祭となったのだ。それこそが本当に記念すべきこと、それこそが奇跡だ。隼駅は最初から聖地だったんじゃない。隼乗りと地元の人々が起こした奇跡がここを聖地にしたのだ。

「名前が同じってだけで、鳥取まで行っちゃえば面白いんじゃない?」始まりは悪ノリで充分。バイク好きなら言わずもがなだろうが、目的なんて方便なのだ。たこ焼き食べに大阪に行くでも、沈む夕日を見に日本海に行くでもいい、バイク乗りはいつだってバイクに乗る理由を探している。それだけのために行ったのかよ! とあきれられることは、むしろ勲章なのだ。

『隼駅まつり』に行った隼乗りならきっとこう言うだろう、「何しに行ったって? バイクと同じ名前の駅を見にだよ!」 あとは全部オマケでいい。このバイク乗りらしいイベントが末永く愛されることを切に願う。

アヘッド 隼駅まつり
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▶︎例年8月に開催している『隼駅まつり』だが、今年は台風11号の接近に伴い中止に。だが多くのライダーの要望を受け、10月12日に延期開催されることが決まった。

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