小沢コージのものくろメッセ その11 日本は世界で最も燃費を気にしなくていい

アヘッド 小沢コージ

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最近、私がラジオやトークショーに出ると必ずというか、ついつい話してしまう自説であり、見方によってはヘリクツがある。それは「日本人はもはや世界で最も燃費に気を使わなくていい国民だ!」というもの。

text : 小沢コージ [aheadアーカイブス vol.147 2015年2月号]

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その11 日本は世界で最も燃費を気にしなくていい

その11 日本は世界で最も燃費を気にしなくていい

要旨は非常に簡単。日本人は既に十分低燃費なクルマにおそらく世界一ぐらいの割合で乗っており、その上走行距離が極端に短い。

従ってガソリンを驚くほど使わず、CO2排出はもちろん、なによりガソリン代がかからない。よって低燃費なクルマにこれ以上執着しなくていいはず! という、考えて見れば当たり前の理屈だ。

これはちょっと電卓を叩いてみれば実感できる。現在日本人の平均的な乗用車の年間走行距離は1万キロ弱で8000キロ前後とも言われている。仮に年間7200キロとすると一ヵ月600キロ。この距離を実燃費リッター20キロのクルマで走ると使うガソリン量はたったの30リッター。

ガソリン代を1リッター150円とすると月に4500円しかかからない。今はガソリン代が下がっているので本当はもっと安い。これをさらに低燃費なリッター25キロのクルマに変えたとして、使うガソリン量は24リッターだからお値段3600円。わずか900円しか変わらないのだ。

しかもだ。実際には実燃費リッター20キロのエコカーがあったとして、どんなに頑張って改良してもリッター22キロぐらいしかならない。そうなるとガソリン代はほぼ4000円。せいぜい「月に500円!」のカットだ。

もちろんこれまでの低燃費化は無駄じゃなかった。例えばほぼ10年前レベルの、リッター10キロのクルマで同じく月に600キロ走ると消費量は60リッター。ガソリン代にして9000円。それをリッター20キロにすることで4500円も浮いた。

だけど、そこから先は技術的伸びしろが減ってくるし、そもそも日本人はクルマで長距離走らない。これがアメリカや欧州のように年間2万キロ以上も平気で走る国民ならば差額はすべて倍以上になって跳ね返ってくる。

実際、小沢は昔ドイツで約1週間走りまくって2000キロぐらい走ったらガソリン代が3万円ぐらいになった。さすがに少し減らしたくなったが、日本じゃせいぜい月5000円。それを数百円減らしてどうする?

CO2排出だって欧米に比べれば1人平均すでに半分以下しか放出していないのだ。そんなに日本人ばっかりが頑張ってどうする? 実燃費リッター20キロを超えれば十分なのだ。

もちろん低燃費技術を否定するわけじゃない。プリウスが本当に実燃費リッター30キロになり、月に20リッターしか使わなくなったら凄い。ひと月のガソリン代3000円ってことより、給油が2ヵ月に1回かそれ以下の方が信じられない。

でもね。そこまで人間ストイックになるべきなのか? もはや現行プリウス&アクアで十分だし「足るを知る」のも大切ではないか。

それより我々日本人は、既に世界に冠たる〝低量ガソリン使用国民〟 であり〝低CO2排出国家〟 である! ってことを巧みに世界に伝える方法なり、政治家を育てた方がよっぽどいいと思うんですけど。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の “バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタ iQなど。
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