元祖ハイトワゴンのプライド 〜”S-エネチャージ”搭載 新型ワゴンR

元祖ハイトワゴンのプライド 〜 ”S-エネチャージ”搭載 新型ワゴンR

アヘッド 新型ワゴン

一方で、フロンティア開拓者としてリスペクトしつつも、登場から20年以上経ったいま、元祖であることの意義が薄まってきているのも事実だろう。むしろ重要なのは「いま」の姿であり、またそれがもたらすユーザーメリットである。

現行ワゴンRは初代から数えて5代目。その間、技術の向上や軽規格の変更などにより、その魅力には継続的に磨きがかけられてきた。

もちろん、ライバルたちも切磋琢磨しつつ実力を引き上げてきているが、ユーザーサイドにたった細かな使い勝手の工夫や安心感の高いフットワークなどには依然としてワゴンRに一日の長がある。

もう一点、ユーザーの関心が高まっている燃費にもワゴンRは真摯に取り組んでいる。減速エネルギーをためてエンジンの発電負担を減らすエネチャージや、アイドリングストップ時の冷気を保持するエコクールがその好例だ。

そして今回、独自技術であるエネチャージをさらに進化させたS–エネチャージが登場。他の小改良と併せJC08モード燃費を従来の30㎞/ℓから軽ワゴントップの32.4㎞/ℓへと伸ばしてきた。

S–エネチャージは、エネチャージのもつ減速エネルギー回生機能をさらに積極的に活用するべく開発された機構だ。エネチャージの場合、発電してためた電力はエアコンやヘッドライト、オーディオといった電装品だけに使っていた。

それに対し、S–エネチャージではISG(モーター機能付き発電機)を新たに採用することで、加速時のモーターアシストを実現した。発電機が回る機会が少なくなる分、エンジンの負担が減り燃費が向上するのがエネチャージ。

それに対し、S–エネチャージは加速時にモーターの駆動アシストが加わるためエンジンの負担がより小さくなり、さらなる燃費向上を見込めるというわけだ。

モーターによる駆動アシストを行うのであればそれはハイブリッドだ。事実、S–エネチャージを搭載したワゴンRは分類上ハイブリッド車となる。

にもかかわらずスズキがハイブリッドと謳っていないのは、S–エネチャージが控えめなハイブリッドだからだ。エネチャージ車に対する燃費改善率は8%。エンジンを停止したままモーターだけで走るEVモードもない。

実際に試乗しても、加速性能は従来通りだ。開発者に聞いたところ、モーターによる出力上乗せ分をちょうど差し引いたエンジン特性にしているため、熟練したテストドライバーでもエネチャージ車との違いを感じ取ることは難しいという。

むしろ直接的に感じるのは、セルモーターの代わりにISGを使ったアイドリングストップ時からのエンジン再始動が圧倒的に静かで滑らかになったこと。もちろん、燃費向上もユーザーが実感できるメリットのひとつだ。

それにしても、制度上はハイブリッドなのにあえてアピールしないあたりにはスズキらしい実直さを感じる。さらにスズキらしいなと感じるのが、S–エネチャージというシステムのもつシンプルさである。

他のハイブリッド車のように大きなモーターや大容量バッテリーを必要としない分、コストは安く、室内スペースも犠牲になっていない。そもそもひと声30万円のハイブリッド代は軽自動車に相応しくないというのがスズキのスタンスなのだ。

これこそが軽自動車に相応しい燃費改善技術だというスズキの信念に大きな拍手を送りたい。

▶︎すっきりと整理されたインパネは機能的で使いやすい。メーターはくっきりと見やすくデザインされている。高効率リチウムイオンバッテリーは助手席下に納められ、室内の広さを犠牲にしていない。ボディは小さいのにこの広さ。後席も余裕の空間が広がる。

アヘッド 新型ワゴンR

▶︎減速時にエネルギーが回生されている(写真左)ことも、加速時にモーターがアシストしている(写真右)のも、インジケーターに表示される。目で見て分かるのは楽しい。

アヘッド 新型ワゴン

●NEW ワゴンR
車両価格:¥1,372,680(FZ・2WD)(消費税込み)
車両重量:790kg
総排気量:658cc
最高出力:38kW(52ps)/6,000rpm
最大トルク:63N・m(6.4kg・m)/4,000rpm
全長:3,395mm 全幅:1,475mm 全高:1,660mm
燃費(JC08モード):32.4km/ℓ

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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