埋もれちゃいけない名車たち vol.33 大衆車メーカーのスパイダー、再び「FIAT 124スパイダー」

vol.33 大衆車メーカーのスパイダー、再び「FIAT 124スパイダー」

アヘッド FIAT 124スパイダー

ところで、そのND型ロードスターのプラットフォームを利用し、イタリアのアルファ・ロメオが〝スパイダー〟を復活させる計画があったことを覚えておられるだろうか?

ND型のシャシーにアルファ・ロメオ独自のボディとエンジンを搭載し、足腰のセッティングも独自に行い、生産はマツダに委ねることになっていた。

が、後にその計画は変更となる。アルファ・ロメオではなくほかのブランドで展開されることが明らかになったのだ。フィアットが北米で〝124スパイダー〟という商標登録を出願していたことから、フィアット・ブランドでは?と憶測され、この3月のジュネーヴ・ショーの会場で、アルファとフィアットを抱するFCAのセルジオ・マルキオンネCEOがそれを認めたのだとか。

関係者が出所といわれる噂によれば、ルックスはマツダよりもレトロ調であり、エンジンはDCAの既存の1.4リッター+ターボを200ps程度までチューンナップしたもので、2016年デビューらしい。だとすれば、フィアットにとって31年ぶりとなる後輪駆動のスポーツカーは、相当楽しいものになりそうだ。

今回は、その名前の元になった124スパイダーを改めて御紹介したい。そう、最後の3年間はフィアットではなくピニンファリーナ・ブランドで販売されていたものの、31年前まで生産されていた後輪駆動のオープンスポーツカーである。

1966年に誕生した124スパイダーは、フィアットの極めてシンプルな小型サルーン、124ベルリーナのシャシーをベースにホイールベースを短縮、そこにピニンファリーナのデザインによる2ドアのオープン・コクピットのボディを架装したモデルだ。

当初からDOHCエンジンと5速MTを備えた本格的な設計でありながら、極めて狭いながらもリアシートを備えた+2レイアウトと広めのトランクを持つ実用性の高さは大衆車メーカーならではのもので、当時はライバルだったアルファ・ロメオのスパイダーと決定的に異なっているところだった。

乗り味も、とっても癖がなくて運転しやすく、カリカリのスポーツカーというより爽快なツアラーといったテイスト。そのイージーな感覚と60年代デザインならではの穏やかなスタイリングが魅力的だった。

新しい124スパイダーは、このモデルの雰囲気を意識したスタイリングになるのだとか。乗り味も含め、デビューがとても楽しみだ。

FIAT 124スパイダー

アヘッド FIAT 124スパイダー 内部

フィアット124スパイダーは、小型大衆セダンだった124ベルリーナをもとにして作られたオープンスポーツカー。1966年のデビュー当初は1.5リッターからスタートし、1.6、1.8、2.0と排気量を拡大、1982年からは名前をピニンファリーナ2000スパイダーと変えて1985年まで生産が続けられた長寿モデルだった。

基本的には性能だけを追っていない柔軟な乗り味を特徴にしていたが運動性能は高く、アバルトがチューンナップを加えたマシンが世界ラリー選手権に出場し、上位入賞を繰り返すなど大きな活躍を収めていた。

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text:嶋田智之/Tomoyuki Shimada
1964年生まれ。エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長年にわたって務め、総編集長として『ROSSO』のフルリニューアルを果たした後、独立。現在は自動車ライター&エディターとして活躍。

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