F1ジャーナリスト世良耕太の知られざるF1+ vol.02 笹原右京への期待
笹原右京がフォーミュラ・ルノー2.0での初優勝を飾った。カートで世界の頂点に立った右京は、'13年、'14年とフォーミュラ・ルノー2.0ALPS/NECシリーズに参戦した。'14年にはイタリアF4にスポット参戦して優勝しているが、フォーミュラ・ルノーで表彰台の中央に立つのは初めてだ。
text:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.150 2015年5月号]
笹原右京がフォーミュラ・ルノー2.0での初優勝を飾った。カートで世界の頂点に立った右京は、'13年、'14年とフォーミュラ・ルノー2.0ALPS/NECシリーズに参戦した。'14年にはイタリアF4にスポット参戦して優勝しているが、フォーミュラ・ルノーで表彰台の中央に立つのは初めてだ。
text:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.150 2015年5月号]
▶︎「カテゴリーを問わずいろいろなチームからオファーをもらった」(右京)が、コミュニケーションを深めていくなかで、「僕を求めてくれているという情熱を一番感じた」ことがARTジュニアチーム入りの決め手となった。「強豪がそろっているので結果を残すのは簡単ではないが、常に貪欲に取り組んで勝利を目指す」と右京。1996年生まれ、群馬県沼田市出身。熱烈な片山右京ファンである母親の希望で「右京」と命名。ヘルメットのカラーリングは、本家の配色をベースにアレンジしている。
フォーミュラ・ルノー2.0にはいくつかのシリーズがあるが、右京が初優勝を遂げたのは「NEC」と呼ばれるシリーズ。4月11日〜12日にF1グランプリの開催地でもあるイタリア・モンツァで第1大会が行われた。
予選2番手でスタートした第1レースで右京は、冷静さと剛胆さを巧みに使い分けたレース運びで先行車を追い抜き、先頭でゴールした。2番手からスタートした第2レースでは無理をせず着実に2位のポジションを狙い、望みうるベストの結果をたぐり寄せた。
右京は「チーム、マシン、ドライバー、そして運。すべてがうまく噛み合った結果だと思います」と、初優勝したレースを淡々と振り返る。
実は右京が’15年のメインに据えているのはNECではなく、4月25日に始まる「EURO CUP」シリーズだ。「ヨーロッパのドライバー市場にデビューするためのグローバルスタンダード。EURO CUPはそのなかで最もコンペティティブなシリーズで、強豪がそろっている」と右京は分析する。
そのシリーズで「スピードを見せる」ことで次のステップへの足がかりを見いだすのが、'15年の目標だ。NEC第1大会へのスポット参戦はEURO CUPに向けた実戦テストの位置づけだったのだが、またとない弾みがつくことになった。
ARTジュニアチームへの移籍もニュースだ。ARTグランプリはF1直下のGP2にシリーズ発足初年度の2005年から参戦しており、L・ハミルトンやN・ロズベルグ、N・ヒュルケンベルグがチャンピオンを獲得してF1へステップアップしている。
右京よりちょうど10歳年長の小林可夢偉は、現在の右京と同い年だった'05年にフォーミュラ・ルノー2.0ユーロシリーズでチャンピオンを獲得すると、翌年、ART傘下のF3チーム入りを果たしてユーロF3に参戦。GP2('08年)、F1('09年)へとステップアップを果たした。
同じような展開を見込んでのART入りか、の問いに「たとえEURO CUPで結果を残せたとしても、GP2へのステップアップはそう簡単ではありません」と、冷静に状況を分析している。ただし、「チャンスが生まれたときには、それをつかみ損ねないような準備はしておきたい」と意気込む。
強いチームに有能なドライバーが集まるのは、チームにドライバーを見る目があるからだ。表彰台の常連だったわけでもない右京の「いい走り」に目を留めたARTからの積極的なアプローチに応える形で、ジュニアチーム入りが決まった。1つ目のチャンスはもう掴んでいる。さあ、次だ。
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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/
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