小沢コージのものくろメッセ その18 SNS的ジマン爆弾

アヘッド ものくろメッセ

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アナタは朝起きた時、あるいはふと空き時間が出来た時に何をするだろうか。今や多くの人がスマホやパソコンでのインターネットチェック、それもFacebookやツイッター、LINEなどでのたわいのないやり取りだと思う。

text:小沢コージ [aheadアーカイブス vol.154 2015年9月号]
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その18 SNS的ジマン爆弾

その18 SNS的ジマン爆弾

そこには毎日の出来事から待ち合わせ情報から人生の気づきまで、お役立ちネタからくだらない情報まで散りばめられているので、有用ツールとして手放せなくなりつつあるが、気をつけて欲しいのが、絶妙にフラストレーションが溜まる〝爆弾〟が仕込まれていることだ。

それはジマンである。かの高田純次さんがTVで「歳を取ったら〝説教〟〝昔話〟〝自慢話〟をしないよう気をつけている」との名言を吐いていたが、人は気づくと自慢をしがちなやっかいな生き物であり、意外なほど日常情報と表裏一体の関係にある。

「今日こんなの食べた」「可愛いお洋服を見つけた」「○×に行った」「誰と会った」そして「どんなクルマに乗った」。これは確かにリアル情報で、漠然と業界トレンドが分かるディテールであると同時にジマン要素であることも無視出来ない。

しかもSNSがなかった時代には決して見ることのなかった情報でもあり、気づかない間に〝勝者〟と〝敗者〟に明確に分けていく。そう、それを手に入れた誰かと、手に入れられなかった自分である。またそれは目に見えないフラストレーションとして雪のようにあなたの肩に降り積もっていく。

そしてそこで光り輝くのは高校時代ぐらいで決別したはずの〝ウザい自慢しい〟である。ドラえもんで言うならスネ夫タイプ。少年少女時代を振り返って欲しいが、昔からクラスには1人ぐらい自己アピールが上手いヤツがいて、自分が手に入れた「他人から見ても価値がある」と判断したものをオオゲサに吹聴しまくった。

それは「珍しいガンプラ」でも「アイスの当たり棒」でも「たまたま見掛けた芸能人」でもいい。とにかく自分が「凄い」と思った価値観を強力に他に押しつけてくるので、どうでもいい人間にとってはうっとうしい存在だったが、その手のタイプをSNSワールドでしばし散見する。

SNSの場は、ある種クラスや学校単位のプチマスコミュニケーションの再来であり、REBONEなのだ。「これ買った!」「これ旨かった!」を見事に切り取るヤツが闊歩する実にウザいステージなのだ。

実際、目に付かないだろうか。金持ちは旨い食い物、美人は自分と可愛いお洋服ばかり写真にし、クルマ好きはレアなモデルばかりを出す。トレンドも含まれているので全否定はしないが、タマに「もっと別のネタないの?」と思う。もちろん多くは慎ましいサイレントマジョリティでいい話も多いが、自慢しいも増長される傾向にある。

てなわけでそういうフラストレーションが溜まるSNSジマン野郎は、心穏やかに笑って見過ごすのが一番だが、こちらも人間、ああ「またですか…」と思うことも少なくない。よって小沢はそういうのに巡り会ったらこう考えることにしている。この人は本当に喜びを分かち合う人が身近にいないからSNSにアップするのだと。

実際、本当にそう思うんですけどね。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の“バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタiQなど。
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