私の永遠の1台 VOL.2 アルピナ B3S

アヘッド アルピナ B3S

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17年前、私は、クルマ雑誌の巻末の新車価格一覧を一行ずつ、見ていました。一台も見逃すまいと必死に指でなぞりながら…。「4人乗れるカブリオレで速くてMT」と何回もブツブツ呟きながら、です。やっぱり、そんなクルマは無いか…と諦めかけた、その時!

text:安東弘樹 [aheadアーカイブス vol.160 2016年3月号]
Chapter
VOL.2 アルピナ B3S

VOL.2 アルピナ B3S

▶︎1962年、ブルカルト・ボーフェンジーペンがBMW 1500用のウェーバー・ツインキャブレターの開発に着手する事に始まる、ドイツの自動車メーカー、ALPINA。

同社がBMW 3シリーズカブリオレ(E46)を元に圧倒的なパフォーマンスを発揮させるべく独自の方法で作り上げた珠玉の1台。3.4ℓ直列6気筒自然吸気エンジンは315psを発揮した。


あ、あった! 「え、何? ALPINA B3カブリオ!? BMWのチューナー? AMGみたいなものかな?」

今の私が聞いたら「何、言うとんねん!」と下手な関西弁で突っ込んでいるところです。皆さんご存知だと思いますが、ALPINAは「チューナー」ではなく「メーカー」です。

当時まだインターネットに触れていなかった私は、ALPINAのショールームが会社に近い赤坂にあったこともあり、仕事の合間に思い切って訪ねてみました。

そこで見たのは、控えめなのに「良いもの」感に満ち溢れた内外装を纏ったB3というクルマでした。凄みがあるのに威圧感がない。272馬でMT! パーフェクトです。

そして最初に接客して下さったのが、今もお付き合いが続いているSさんでした。ショールームは小さいのに高級感があって、でもフレンドリー。そんなショールームとSさんの柔らかい物腰の接客が、ますます私の購買意欲をかきたてます。

しかし、ネックは価格でした。「無理!」と一度は諦めかけましたが、Sさんが支払いの様々なシミュレーションをして下さり、それまで乗っていたクルマの下取り価格も、思ったより高くなり、正に「清水の舞台から飛び降りる」覚悟で、契約書に判を押したのでした。

購入したのは、B3 3.2カブリオ MT。

10ヵ月待って納車された時の感動は今でも鮮明に覚えています。乗ってみると、それは魔法のようなクルマでした。動力性能が一級品なのはもちろん、何より驚嘆したのは、段差を越えても嫌な突き上げがないのに、コーナーでロールしないという奇跡の「足」でした。

なぜ私がこのような条件のクルマを探していたのか。話は25年ほど前に遡ります。

当時、いわゆる「オープンカー」には全く興味がなかったのですが、友人が「ゴルフ・カブリオレ」に乗せてくれたのをきっかけに、屋根が開くクルマの虜になってしまったのです。それ以来2人乗りのロードスターを何台か乗り継ぎました。

ただ、ロードスターで車中泊北海道一人旅をした際、その狭さに辟易とし(ホテルに泊まらないのが悪いのですが)、それ以上に、現地でお世話になった方を一人しか乗せられない不便さを痛感して、次は4人乗れて、且つ運転が楽しいクルマにしよう! と、雑誌の価格表と格闘するに至ったという訳です。

その後、B3 3.3、B3Sと3台乗り継ぎ、写真のB3Sで、洗練が極まったところで、新B3にモデルチェンジとなりました。残念なことに、新B3以降、MTの設定がなくなり、以来、ALPINAから離れています。祈! MT復活!

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text:安東弘樹/Hiroshi Ando
1967年横浜市生まれ。成城大学法学部卒業。1991年、アナウンサー27期生としてTBSに入社。これまでに「王様のブランチ」「アッコにおまかせ」「はままるマーケット」などテレビ番組のほか、ラジオでも活躍。現在は「ひるおび!」(TV)、「辛島美登里 こころん、ふるさと(ナレーション)」(RADIO)を担当。大のクルマ好きで、これまでに39台ものクルマを乗り継いだ。奥様がイラストを描いた共著『安東さんちの子育てちからこぶ』では二人の男の子の子育てを綴っている。
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