峠の自販機の前に戻れる時間 〜「バイク深夜超特急」

アヘッド トークライブ「バイク深夜超特急」

※この記事には広告が含まれます

「スズキのカタナをデザインしたのはハンス・ムートではなかった」。大鶴義丹さんの衝撃的な発言から始まったトークイベント「バイク深夜超特急」は、ライブハウスを貸し切り、食事をしたり、お酒を飲みながらMCのフリートークを楽しむイベントだ。

text:横田和彦 [aheadアーカイブス vol.161 2016年4月号]
Chapter
峠の自販機の前に戻れる時間 〜「バイク深夜超特急」

峠の自販機の前に戻れる時間 〜「バイク深夜超特急」

昨年の11月に初開催され、今回で3回目となる。MCは大鶴義丹さんと、元全日本選手権ライダーで現在はモトGPの解説でもおなじみの宮城 光さん。

そして四輪のモータージャーナリストとして多方面で活躍する今井優杏さんの3人がメイン。そこにゲストを迎えてバイクに関するディープな話題を繰り広げるトークライブなのである。

毎回決められたテーマに沿ってトークは始まるのだが、ノリがいいMCがアルコールを口にしているので話は右に左に振れていき、ときにはゴールがどこか分からなくなることも。

しかし当事者しか知らない貴重な事実や、ここには書けないぶっちゃけ話などが数多く噴出する。80年代のバイクブームを体験した人はもちろん、その時代を知らない人にとっても飽きることのないライブイベントとなっている。

今回の第3回目のテーマはスズキのカタナについて。当時あの名車がどのように映っていたのか、また大鶴さんが監督した映画「キリン」の裏話や、カタナ乗りのなかでは伝説的な存在である「宮城 光スペシャル」と呼ばれるカタナの話などが披露された。

ちなみに前出のカタナのデザインについての真相は、カタナはあくまでもハンス・ムートが所属していた「ターゲットデザイン」という会社の作品であり、複数のデザイナーによって製作されたというもの。実際にフェルストロームというデザイナーのサインが入ったデザイン画も残されている。

ハンス・ムートはスズキとの交渉役として活躍したのと、当時すでにメジャーな存在だったことから名前が前面に押し出されたのだ。

そして「宮城 光スペシャル」に搭載されていたのは、ヨシムラがクロスビー用に製作したデイトナ100マイル用のチューニングエンジンだったという事実。マグネシウム製のCRキャブが装着されており、始動は常に押しがけだったらしい。

約2時間に渡り繰り広げられる3人のトークは、峠の自動販売機の前や、ファミレスの一角で時が経つのも忘れて仲間と熱くなったあの雰囲気が感じられる。

昨日、自分が目撃したことや、盛りに盛った友達の友達の話、都市伝説がかった伝説の検証まで、バイクのことであれば、どんな小さな話題でも興奮していたあの頃の空気が毎回充満している。

同じ趣味を持つ者が顔を合わせて話すというバーチャルでは得られない現実感が多くのひとを惹きつけるのだろう。熱いバイクブームを知る人はぜひ会場に足を運んでもらいたい。ここでしか得られない懐かしい時間を体験できるはずだ。
▶︎大鶴義丹、宮城 光、今井優杏によるトークライブ「バイク深夜超特急」は、代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」で不定期に開催されている。今後は大阪でも開催する予定とのこと。開催情報については各氏のHP、facebookをチェックしてください。

------------------------------------------------
text:横田和彦/Kazuhiko Yokota
1968年生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターオーバーまで数多くのバイクやサイドカーを乗り継ぐ。現在はさまざまな2輪媒体で執筆するフリーライターとして活動中。大のスポーツライディング好きで、KTM390CUPなどの草レース参戦も楽しんでいる。
【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細