私の永遠の1台 VOL.4 ヤマハ TDM850

VOL.4 ヤマハ TDM850

アヘッド ヤマハ TDM850

TDRというバイクはレーサーレプリカ・TZR250と同じ2ストローク249㏄水冷並列2気筒エンジンを搭載する、当時風でいうスーパーバイカーズだ。

林道ツーリングを楽しんでいた2スト好きの私にピッタリだったが、手頃な中古車が見つからず、じゃじゃ馬をダートで走らせることにヨロコビを見出したいなら、それよりでっかいTDMでも目的は果たせるだろうと考えていたのである。

実際、TDMをダートに持ち込めば重い車体に苦労させられたし、72馬力のパワーを持て余した。そもそもダートバイクではないのだから当たり前で、だいたい目的を果たせたなと感じたあたりで積極的に林道へ入り込むのをやめた。いや、本当はダートでの酷使や転倒のせいでボロボロになりすぎたからだ。

「これからは開発者の意図を尊重して、本来の使い方をしよう!」

そう思った矢先、オイル管理の怠慢でエンジンを焼きつかせた。普通なら廃車にするところだが、往生際の悪い私はヤフオクでエンジンを購入して載せ替えてもらった。ところが1年後にミッショントラブルが発生。すぐさま3機目のエンジンを購入して再び載せ替えてもらった。

それが今までのTDM850の印象を一変させた。レースで使用していたというそのエンジンは、おそらくきっちりと管理され、運用されていたのだろう。

エンジンの回転フィールがものすごくまろやかなのだ。低回転域から中回転域までのなめらかで力強いトルク特性と、360度クランクならではの振動の少なさ。ハーレーやドゥカティのように、2気筒エンジンは鼓動感を楽しむものと思っていたし、だから並列2気筒なんてツマラナイと思っていた。

しかしTDMのそれは単気筒をスムーズかつトルクフルにするための多気筒化という、実直でマジメな2気筒エンジンであることが、そのなめらかなトルク特性から伝わってくるのだ。もちろん振動は皆無ではないが、角がとれた丸みがあり、それがまた心地いい。並列2気筒がツマラナイなんて誰が言ったんだ!(俺だ)

足まわりや外装をフルレストアしたい欲望もあったが、そんなゆとりはどこにもないため、10年10万㎞超となったところで手放した。しかし今でもあのエンジンフィールは愛おしく、手のひらや足にあの感触を思い出しては懐かしんでいる。

ヤマハ TDM850

アヘッド ヤマハ TDM850

1991年発売。ヤマハのパリダカレプリカ「XTZ750スーパーテネレ」を源流とし、オフロードバイクのディメンションを採り入れたオンロードバイクとしたことで、長距離を安楽に走破できる他、荒れた路面での安定性を確保。現在ブームとなっているアドベンチャーツアラーの始祖であるが、「プアマンズBMW」という不名誉なニックネームを持つ。

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text:山下 剛/Takeshi Yamashita
1970年生まれ。東京都出身。新聞社写真部アルバイト、編集プロダクションを経てネコ・パブリッシングに入社。BMW BIKES、クラブマン編集部などで経験を積む。2011年マン島TT取材のために会社を辞め、現在はフリーランスライター&カメラマン。

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