ひこうき雲を追いかけて vol.49 ミラノを巡る2つの出会い

vol.49 ミラノを巡る2つの出会い

アヘッド ミラノ風景

今、70代半ばの内田さんと菅原さんはお二人が若かりし頃の旧知の間柄。「ミラノで内田さんに食事をご馳走になりました」と何気なくお話ししたら、菅原さんはそれはそれはびっくりされた。

お二人はもう20年以上音信がなく、もちろん互いの連絡先も知らなかった。菅原さんはちょっとした要件で、ちょうど内田さんに連絡を取りたいとツテを辿ろうとしていたところだったそうなのだ。

まさか、内田さんとは何のつながりもなかった私が、20年以上もの時を隔てて、再びその縁を結ぶとは想像だにしていなかったわけで、驚くのも無理はない。縁とは不思議なものである。

もうひとつ、縁とは不思議なものという感慨を深くしたできごとがあって、それはまたしてもミラノでのことだった。内田さんとお会いしたその2ヶ月後に、今度はフォルクスワーゲンのプレス試乗会で再びミラノに飛んだのだが、そのメンバーの一人にカーグラフィック編集部の女性がいた。

彼女とは私が今の仕事を始めた10年ほど前に何度か会っている。しかしその時は単に会ったというだけで、関係が深まることはなく、以来顔をあわせることもなかった。それが今回のミラノの試乗会でお会いして、「10年ぶりですね」と、同じクルマでドライブし、街を歩き、食事をし、一緒に長い時間を過ごすうち、すっかり仲良くなってしまった。

帰国して2日後、あるメーカーの説明会の会場で、案内された席に座ったら、なんと隣は彼女だった。「10年以上、一度も会うことがなかったのにねぇ」と唖然として2人して笑ってしまった。今、彼女はカーグラフィックに連載を持つ松本 葉さんの担当編集でもあり、そんなところにも縁を感じてしまう。

人がちゃんと出会うには、ただ会うだけではダメなのだなぁと思った。機が熟すというのか、自分にも相手にも準備が必要で、それらのタイミングがぴたりと合ったとき、人と人は初めて出会うことができるのかもしれない。

人とモノ、人とクルマの縁も同じだ。いいクルマは世の中にたくさんある。それでも自分にとって「これ」という一台に出会えるかどうかは縁としか言いようがない。

私はいま乗っているクルマをこれまでにないほど気に入っているが、このクルマとはまさに縁としか思えなような出会い方をした。愛車とそういう出会い方をしたという人は、きっと多いだろう。

縁とは人智を超えたものではあるが、しかし、その縁を育てていけるかどうかは自分しだいだろうと思う。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。

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