レンタルという選択肢

アヘッド レンタル

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「若者の約半数はレンタカーやカーシェアリングのクルマでデート経験がある」 タイムズ駐車場のほか、カーシェアやレンタカーを運営している「パーク24」から、昨年末にこんな発表があった。ドライバー向けの会員制サービス「タイムズクラブ」の会員約550万人を対象にしたアンケート結果だ。

text:森口将之 [aheadアーカイブス vol.164 2016年7月号]
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レンタルという選択肢

レンタルという選択肢

カーシェア&レンタカー体験者の比率が多くはなるが、30代の46%、10〜20代の51%が経験という数字は興味深い。またパーク24ではカーシェア会員の年代別構成比も発表しているけれど、クルマのデート経験が多いという10〜30代で、なんと半分以上を占めている。

つまり若者のクルマ離れというフレーズは、クルマを買う人が減ったことだけを指しているのであって、クルマから遠ざかっているわけではないことが、カーシェア利用者の多さから推測できる。
●レンタル819
北海道から沖縄まで全国100店舗以上を展開するレンタルバイクネットワーク
www.rental819.com


そしてバイクの世界でも同じような状況が起こっている。レンタルバイクネットワークの「レンタル819」によると、借りる人の平均年齢は37歳と、新車購入者平均の51歳を大きく下回っている。20代と30代だけで全体の59%を占める状況はタイムズのカーシェアとそっくりだ。

現在53歳の自分に近い世代の人は、所有欲が旺盛で、クルマもバイクも乗りたければ自分で買うのが当然だった。しかしスポーツからファッションまで、今は多くの分野にレンタルという手段が存在する。そんなサービスに囲まれて育った若い人は、借りることが買うことに比べて引けを取るなんて思っていない。そのほうがスマートだと考えているフシさえある。

ただしすべての会員が一生レンタルで過ごすかというと、そうではない。レンタル819の年間会員を辞めた理由で34%ともっとも多い理由は、バイクの購入なのだ。いろんなバイクに乗りながら、自分に合った1台を品定めしているのである。

そんな変化にメーカーも気付いていて、レンタル819ではメーカーからコラボ企画の話がくるほどになっている。またメーカー直営カーシェアの代表であるダイムラーの「car2go」は、カーシェア運営に乗り出した理由のひとつとして、若者にクルマへの興味を持ってもらうことを挙げている。

現代は買えないから借りるという上下関係は存在しない。クルマやバイクを楽しむための選択肢が増えたと考えるべきだ。

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text:森口将之/Masayuki Moriguchi
1962年東京生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・テレビ・ラジオ・講演などで発表。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員を務める。著作に「パリ流 環境社会への挑戦」「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」など。
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