“動的質感”で勝負する今後の10年

アヘッド 新型インプレッサ

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新型インプレッサの技術的なトピックスは、新開発のSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用した第一弾商品だということだ。自動車のプラットフォームは、少なくとも10年以上は使われる。比較的、小規模メーカーのスバルは1つのプラットフォームでほぼ全車種をカバーするので、インプレッサはこれからのスバル車の10年を占うものであり、次世代スバルの幕開けとも言われている。

text:石井昌道 [aheadアーカイブス vol.169 2016年12月号]
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“動的質感”で勝負する今後の10年

“動的質感”で勝負する今後の10年

SGPが目指したのは世界最高水準の衝突安全性と動的質感の向上。アメリカでは衝突安全試験の結果が販売を左右するが、スバルは常にトップレベルで、並み居るプレミアムカーを上回ることもしばしば。

それがここ最近の好調にも繋がっている。SGPは10年以内に付け加えられるであろう新たな試験にも対応できるよう設計・開発されている。

もう一つの動的質感。これは以前から自動車評価の専門用語だったが、最近のスバルは対外的にも使い始めている。読んで字のごとく動いている時、すなわち走りの質感だ。ちなみに静的質感は内外装の見た目や触感、操作感などに用いられる。

動的質感に注目することは何も新しいわけではなく、スバルもこれまでエンジニアやテストドライバーが追求してきたが、それは経験則によるものだった。つまりは職人の勘のようなもの。担当者が変わると味付けも変わってしまい再現性が低かった。

そこでSGPの開発では、徹底的に動きを計測して定量化することを試みたという。ボディ骨格の約200ヵ所に歪みを計測するゲージを取り付け、クルマが走っているときにどう動くのか1/1000秒単位で解析。ドライバーが感じる「いい、悪い」と突き合わせ動的質感を数値化していったのだ。

ボディは走りの善し悪しを決定づけるもので一般的に剛性は高いほどいいとされるが、どんなに高めていってもまったく変形しないわけではない。歪み方によって動的質感が変わってくるので、その過渡領域を造り込むことが重要。

だから、剛性のピークまで緩やかに、しかも全体がバランスよく変位していくことを追求していったという。それをスバルでは剛性の連続性と表現している。

理想的な動的質感をざっくりと表すと、ドライバーの操作に対してクルマが遅れることなく正確に反応し、しかも動きがなめらかで綺麗な連続性があること。唐突感や違和感があったら、それは失格だ。

新型インプレッサは、重箱の隅をつつけばまだ煮詰めるところがなくはないが、従来からは大きく進化して日本車の平均的なレベルを飛び越え、高額な欧州プレミアムカーなどと比較しても引けをとらないところまで来ている。試乗する機会があれば、ぜひとも動的質感に注目してみることをおすすめしたい。

車両本体価格:¥2,160,000(IMPREZA SPORT 2.0i-L EyeSight/2WD、税込)
エンジン:水平対向4気筒 2.0ℓ DOHC16バルブデュアルAVCS直噴 
排気量:1,995cc 最高出力:113kW(154ps)/6,000rpm
最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4,000rpm JC08モード燃費:17.0㎞/ℓ

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text:石井昌道/Masamichi Ishii
自動車専門誌編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦経験も豊富。エコドライブの研究にも熱心で、エコドライブを広く普及させるための活動にも力を注いでいる。
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