クルマとバイクの専門誌が並ぶ書泉グランデ

クルマとバイクの専門誌が並ぶ書泉グランデ

アヘッド グランデ店内

「書泉グランデ」はそんな神保町を代表するひとつで、「趣味人専用」を謳う書店だ。鉄道、アイドル、格闘技、乗り物、スポーツなどなど、あらゆるホビー書を取り扱っており、もちろんクルマ・バイクの関連書籍もズラリと揃う。

5階フロアを担当する笠間祐一さんによれば、定期刊行されるクルマ・バイク雑誌はすべて書棚に並んでいるそうで、一部はバックナンバーもとり揃えている(『ahead』も最新号はもとより、豊富にバックナンバーを揃えていただいている)。

雑誌以外のムックを含む自動車関連書籍の充実ぶりもすごい。

「雑誌がよく売れていたころは、複数の雑誌をまとめ買いする人も多かったのですが、残念ながら、最近はそういうことはなくなりましたね」

笠間さんは最近の読者の傾向をそう分析する。

インターネットや電子書籍が印刷媒体に取って代わるといわれ、出版不況といわれる時代が続いている。しかし、かつて私が某編集プロダクションの面接を受けたとき「どうしてこの業界に来たの。雑誌はもうダメだよ」と言われたのは20年も前のことだ。

たしかに出版点数も部数も減少しているし、休刊する雑誌は後を絶たない。だが、「なくなる」「ダメ」といわれてから20年も持ちこたえていることもまた事実。印刷媒体と電子媒体の住み分けがうまく進んでいるともいえる。

「読者がオンリーワンを求める傾向も高まってますね。編集者が苦手としている分野の記事を、読者は鋭く見抜きますから」

裏を返せば、作り手の個性に受け手が共感できるかということで、笠間さんの分析は出版に限らず、クルマ・バイクにおいても同じことがいえる。

クルマづくりはエンジニアの才能と情熱によって行われてきたが、市場が膨らむにつれてマーケティングが重視され、エンジニアは潜在的な顧客の顔色を伺いながらクルマを作るようになった。

その結果、量産された金太郎飴が、クルマやバイクの趣味性をスポイルしたことは否めない。インターネットに加えて人工知能が社会を大きく変えようとしている今、趣味としてのクルマとバイクは作り手の情熱を高純度でかたちにできるかにかかってくるのだろう。

さておき、書泉グランデの5階にはそうした面倒くさい思考など忘れ、クルマとバイクの楽しさと歓びをピュアに感じて、わくわくできる本がどっさりとある。こうした空間なくして、趣味人を魅惑するクルマやバイクは生まれない。

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text:山下 剛/Takeshi Yamashita
1970年生まれ。東京都出身。新聞社写真部アルバイト、編集プロダクションを経てネコ・パブリッシングに入社。BMW BIKES、クラブマン編集部などで経験を積む。2011年マン島TT取材のために会社を辞め、現在はフリーランスライター&カメラマン。

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