50代からのライトウエイト スポーツプレミアム ALPINE A110

50代からのライトウエイト スポーツプレミアム ALPINE A110

アヘッド アルピーヌA110

若かりし頃ならばチープな質感でも楽しめればよかったが、もういい大人だから心が豊かになる趣も欲しい。日本車ならばトヨタ86よりは日産フェアレディZあたりが相応しいだろう。輸入車では、ロータス・エリーゼ/エキシージはスパルタンにすぎるので、ポルシェ911あたりが欲しくなる。

だが、日常的に走りを楽しむならトヨタ86やロータスのような、ライトウエイトなモデルのほうがオススメだ。大人っぽさ基準で頭に浮かんでくるラグジュアリーなモデルはパフォーマンスもそれなりに高いので、然るべきステージに行かなければ走りを楽しめない傾向が強い。

ライトウエイト・スポーツで探すとなかなか大人の志向にたえうるモデルがないのだが、期待が持てるのが今年9月に欧州デビューを予定しているアルピーヌA110だ。アルピーヌは1955年にジャン・レデレというレーシングドライバーが設立。彼はルノーのディーラーを営んでいたことから、独自にルノー車をモディファイしてレーシングカーを仕立てていた。

世界ラリー選手権やル・マン24時間レースで活躍して名声を高めた名門ブランドで、後にルノー傘下となり独自のスポーツカーを販売していたが、1995年で一旦は消滅。実態としてはルノーのモータースポーツ活動やルノースポール車の開発・製作などを担ってきたが、アルピーヌの名が表にでることはなかった。

アヘッド アルピーヌA110

今回、往年の名車であるA110の名を冠して復活するまでには様々な経緯があったようだが、すでに車両開発は最終段階に入り、大まかなスペックも発表された。

アルミモノコックによって仕立てられ、車両重量は1080kg。エンジンはルノー日産アライアンスの新規開発1.8ℓ直噴ターボの初出となり最高出力252ps/6000rpm、最大トルク320Nmで0-100km/h加速は4.5秒と発表されている。ミドシップとしてハンドリングにこだわっているのでライトウエイト・スポーツらしいドライビング・プレジャーが味わえるはずだ。

そして何よりデザインが優雅で洒落ているのが素晴らしい。インテリアもセンスがよく上質。もともとアルピーヌは走ることに特化したレーシングカーであってもフランス車らしい美しさを持っていたが、その再来なのだ。

アヘッド アルピーヌA110

▶︎「成功者が成功を見せびらかすクルマにしない」という開発初期からの言葉通りに欧州での販売価格は58,500ユーロと発表された。軽量化に拘り、ボディは96%がアルミで製作され、接着剤とリベットで接合している。しかしサーキット至上主義ではなく、あくまでもスポーツプレミアム(注:スポーツが先でプレミアムが後)として設計されているという。全長×全副×全高が4,178×1,798×1,252mmと一般的な日本の立体駐車場に収まるサイズ。


じつは新生A110を手がけたアルピーヌのチーフデザイナーは日本人の岡崎 純氏。彼がまだマツダのデザイナーだった若かりし頃、ボクも『ティーポ』という自動車雑誌の駆けだし編集者で、業界の横の繋がりで幾度となく呑んでいた昔の仲間だったりする。そんな奇遇もあって、3月のジュネーブ・モーターショーではじっくり話を聞いたのだが、美しさへのこだわりは相当なものだった。

「以前のアルピーヌの、後方へ向かってなだらかに下がっていくルーフライン。あのエレガントなシルエットは是非とも再現したかったですね。美しさを追求するためにリアウイングは可動式も含めてつけたくなかったのです。そのために床下に大きなディフューザーを採用しています」と岡崎氏。

レーシングカーで用いられることの多いディフューザーは、床下の気流をコントロールすることで地面に吸い付く効果を発揮させる。リアウイングがなくても高速域で安定させるダウンフォースが得られるのだ。A110ではドライバーのヒップポイントの下部あたりからボディ後端まで長いディフューザーが採用された。

エレガンスとスポーツを両立することに心を裂いたというが、ポイントは前後ともフェンダーの上端とホイールアーチの間隔を狭くしたこと。4つのタイヤがしっかりと踏んばっているスポーツ感がありつつ、エレガンスなシルエットを両立できたのだという。これを実現したのは、シンプルだが角度を計算し尽くしたキャラクターラインだ。

かくしてアルピーヌA110は、乗るときは着る服にも気を使いたくなるほどに美しく上質なモデルに仕上がった。大人が乗るライトウエイト・スポーツとしてこれほど相応しいモデルもないだろう。日本上陸の時期はまだ正式決定していないが、来年初頭になりそうだ。

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text:石井昌道/Masamichi Ishii
自動車専門誌編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦経験も豊富。エコドライブの研究にも熱心で、エコドライブを広く普及させるための活動にも力を注いでいる。

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