KTMのコーナーロケット 新型390 DUKE

アヘッド 新型390 DUKE

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もしかしたら、もう大型じゃなくてもいいのかもしれない…。イタリアのトリノで行われた新型390 DUKEの試乗会にて、そんなことを思った。そもそも、私が二輪免許を取得したのは、2006年に施行された大規模な排ガス規制の影響で、キャブ車と400㏄以下のバイクが、ほぼ全滅し、妥協したくなければ大型を選ぶしかなかった時代。むろん輸入車は大型オンリー。そんな状況だったから、自分も大型免許を取得し、大型車に乗ってきたのだ…。

text:サトウマキ 撮影協力:SHOEI / KUSHITANI [aheadアーカイブス vol.174 2017年5月号]
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KTMのコーナーロケット 新型390 DUKE

KTMのコーナーロケット 新型390 DUKE

▶︎クラス初のフルカラーTFT液晶メーターがコックピットに鎮座している。周囲の明度によって自動的に背景色が切り替わり、さらにブルートゥースでスマートフォンと接続すれば曲や着信といった情報が表示されるオプションも用意されている(写真はサイレンサー、レバーガード、キャップなどのオプションパーツ装着車)。

●390 DUKE
車両本体価格:¥620,000(税込)
排気量:373.2cc
最高出力:32kW(44hp)/9,000rpm
最大トルク:37Nm/7,000rpm


新型390 DUKEのコンセプトは〝コーナーロケット〟。ヘッドライトがフルLED化され、サブフレームがKTMのアイデンティティでもある、トレリスフレームに変更されるなど外観を一新。よりKTMらしい尖った鋭いスタイリングとなったのだが、変更は外観だけにとどまっていなかった。

単気筒373.2㏄というエンジン自体に変更はないが、前後共にインナー構造から見直しが図られたWP製の新型サスペンションの搭載と、新たに搭載されたライドバイワイヤーの効果が秀逸で、走りをより洗練されたものに変えていた。

それは低回転からのスムーズながらも鋭いふけ上がりであり、しなやかになったサスペンションの動きからなる路面への接地感の向上、さらには鋭くコーナーに切り込める小回りの利くハンドリングといった、トータルバランスの良さのなせる技だろう。なによりも、自分の体型でも、容易に一体感を得られたというところが大きい。

この、一体感が感じられるというこのうえない高揚感。これが、忘れられなくてバイクに乗っていると言っても過言ではないし、この高揚感があればこそ、自分のなかにある恐怖感のリミッターが解除されていくのだ。まさしくコーナーロケット。

スロットルレスポンスの良さやかっちりとしたブレーキ性能は健在。軽快ながらもしっかりとした接地感と重心バランスで、リズミカルにコーナーを駆け抜けていく。

回せば回すほど、“”の異名を持つ兄貴分、1290 SUPER DUKERのビースト的な性格が顔を覗かせ、もっと、もっとと囁きかけてくる。くー、気持ちいい! 

390㏄という排気量を忘れさせる、丁度良いパワーとバランス。開発陣曰く「390 DUKEは、先鋭的なデザインに加え、ツーリングから通勤などのシティライドまでに満足できる、最高のパフォーマンスを求めている大人の為に開発した」とのことだ。

もう、選択肢は大型車両だけじゃない。このようにKTMを始め多くのメーカーが、デザイン的にも性能的にも満足させる、本格的な400㏄以下のモデルを登場させてくれている。クラスダウンではなく、欲しいから選ぶ。これが、これからのスタンダードとなりそうな予感がした。

▶︎今回の試乗は大渋滞が発生していた町中から、高速道路を抜けて細かなワインディングへというコース。ストップ&ゴーの多い渋滞でも、低速時のギクシャク感は皆無で、トルクは太く快適。
▶︎シート高は830mmとちょっと高め。しかし、157cm(48kg)の私が跨がってみても、両足のつま先がしっかりと届き、足つきはそこまで悪く感じなかった。シートの形状が前に絞り込まれ、サスペンションが動くことにより、素直に足を下ろすことが出来たのだ。

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text:サトウマキ/Maki Sato
ファッション専門誌からバイク専門誌の編集部に転職した異例の経歴を持つ。現在はフリーランスのエディター&ライター。30代でバイクの免許を取得した。遅咲きながら、バイクへの情熱は人一倍、勉強熱心で努力家。ライディングの美しさには定評がある。
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