目指せ!カントリージェントルマン VOL.2 本当の2040年問題

VOL.2 本当の2040年問題

アヘッド 環境問題

とはいえ今から23年後に施行されるこの政策については世代ごとに捉え方が違うはずだ。その頃には運転免許を返納しているであろう人たちと、移動は電車とバスで事足りると考えている人にとっては大したトピックではないだろう。そのどちらにも当てはまらない一部のクルマ好きがこのニュースに過敏に反応していると思われる。

かく言う筆者もその「一部」なのだが、別段問題とは思っていない。問題と思ったところで何も変わらないし、来年の話をしたって鬼が笑うと言うのに23年後だなんて……という冷めた感覚もなくはない。なにしろ発表されている文面を読めば禁止されているのは新車販売であり、既に生産されたクルマが使えないわけではないし、そもそもこれは我が国の話でもないのである。

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むしろクルマ好きにとっての問題なのは、例え惚れ込んだ1台があっても、それを長い時間維持することが難しい点にある。21世紀になってから作られたプラスティッキーなクルマが、それほど長い期間の実用に耐えられない事実は、部品レベルで愛車を観察してみれば容易に理解できるはずだ。

30万キロを走ることはできるが、30年維持することは困難を極める。パーツを取り換えれば延命できるという考えは正論だが、時間が経過した時、コストを注ぎ込んでまで延命させたいと思えるほどの魅力が残されているかどうかは疑わしい。

使い捨てである点は変わらないが、それでも僕は電気自動車が普及することに賛成だ。電力の源もまた石油ではあるが、電力会社がまとめて発電した電気によって自動車を走らせた方が、内燃機で走るよりもはるかに効率が良く、CO2排出量も5分の1程度で済むからである。

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電気自動車賛成の理由はそれだけではない。BMW由来のブリストルD2ユニット、250GTOの3ℓV12、ホンダS600の精緻な4発、マクラーレンF1用のBMW V12、TVRのスピード6、ナローポルシェの2ℓフラット6……例えハイオクガソリンの価格がリッターあたり1万円しても「回してみたい!」と思えるエンジンばかり。

それに比べれば昨今は大量のCO2を排出してもやむなしと思えるようなエンジンがないので、よっぽど電気自動車が増えた方が世のためだと思うのである。

2040年に自分が生きているかどうか皆目見当がつかない。であるならば小さな喜びのために今目の前の仕事を黙々とこなすべきである。今すぐにロメインレタスの種を蒔けば、冬の間じゅう新鮮なシーザーサラダを確実に食べ続けることができる。今すぐ原木を割って薪を作れば、再来年の冬のための「貯金」を確実に増やすことができる。見えない未来について逡巡する暇は、僕にはないのである。

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text:吉田拓生/Takuo Yoshida
1972年生まれのモータリングライター。自動車専門誌に12年在籍した後、2005年にフリーライターとして独立。新旧あらゆるスポーツカーのドライビングインプレッションを得意としている。東京から一時間ほどの海に近い森の中に住み、畑を耕し薪で暖をとるカントリーライフの実践者でもある。

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